第15話

 実技試験が行われるのはこの学園の小さな武道場。

 ……小さなと言っているが、この学園の中にある施設の中じゃ小さいだけであり、ここはうちの村で最も大きな儀式場の二倍くらいの広さがある。

 僕の家何個分だろうか?


「良し!それでは始めて行くぞ。やることは単純。一人ずつ我々と戦ってもらうだけだ」

 

 前に立っている5人の先生。

 実技試験はその5人の先生と一人ずつ戦っていくのか。実にシンプルで良いじゃないか。

 全部で40人くらいいるから、8、9回くらい先生たちは戦うのか。大変やな。


「じゃあ、さっさと適当に来い。今日中に終わらせたいんでな」

 

 先生がそう言うと、受験生たちは先生たちの立っている。

 僕は最後で良いかな。

 

「おぉ、良いじゃないか」


「……」


「もう少し頑張るようにな」

 

 僕は先生と生徒の戦いをぼーっと眺める。

 そこそこ戦えている人が多いかな……村の神童として讃えられて来た人たちはみんな残念な結果になっているけど。


 ■■■■■

 

 試験は何の問題もなく進行していき、最後となった僕に先生が話しかけてくる。

 

「えっと……じゃあ、やるか?」

 

「はい。やりますよ」

 

 最後になった僕は先生の言葉に頷く。

 ここに居た生徒の数は41人。

 僕だけが残った。


「そうか。じゃあ、来い」

 

 僕はステージの方に登り、自然体で立つ。

 そんな僕をまるで残念なものを見るかのような視線を向けてくる先生と生徒たち。

 僕はそんな視線を無視して、口を開く。


「もう行って良いんですか?」


「あぁ、構わないぞ」 

 

 今、僕の前に立っている先生が僕の言葉に頷く。


「ありがとうございます。では」

 

 指を一度鳴らす。


「……ぁ」

 

 僕の鳴らした指の音。

 それを聞いた先生は、一瞬で意識を失い、瞳を閉じてその体を床へと倒した。


「「「ッ!?!?」」」

 

 瞬殺した僕を前に


「何をッ!?」

 

 訳がわからないと言いたげな様子で先生が叫ぶ。


「……?別に魔法を使って良いんですよね?ちょっと魔法で眠ってもらっただけですよ」


「眠らす……?え、詠唱や魔法陣もなしに?」

 

 先生は訳がわからないと言う……困惑したような表情を浮かべている。

 本来、魔法を使うには詠唱や魔法陣を必要とする。このゲームに置いて無詠唱という技術は存在しない。


 無詠唱はないのだが、催眠術のように五感を使って魔法を相手にかけさせる技術がすでに滅んだ少数民族の中にあったのだ。

 僕はちょっとそれを参考にして使わせてもらったのだ。

 

「僕がすごいってことだよ!」

 

 僕は胸を張って堂々と言葉を口にした。

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