私の友達の弟がゲイなんだとさ
日端記一
第1話
自殺する直前の気持ちって、どんな気分なんだろう。
私はスカートの裾を、汗ばんだ手で掴んだ。校庭では運動部がだらだらとランニングしている。
なんで生きているんだろう、と思いながら彼ら彼女らを見下ろしている。
私は、錆びつつある手すりを乗り越え、ぼんやりと視線を真下へ、そして校庭へとやった。
別に自殺をするつもりも、下級生、運動部らを軽んじているわけでもない。ただ、なぜ私は彼らと共に生活しているんだろうという疑問を抱きながら。私には退屈な学校生活を、満喫しているのだろうか、と、ぼうっと眺めていた。
しゃがんで下方を見ていると、男子生徒と女子生徒が楽しそうに歩いている。私はなんとなく気まずさを感じて、手すりをまたいで四階につながる階段へと向かった。
変わっているか変わっていないかは私は私自身で判じられないことだが、私は他人に憎しみや悲しみを持たない。もっとわかりやすく言うと、親や友人との付き合いもフラットで味気ない。
ただ仲の良い友だちが二人だけいる。彼女らは私のことをアンニュイな世界に生き、生きているうえで無駄なことを考えているな、と少し軽口を言う。友人は一人は小学校から、もう一人は中学校からの付き合いだ。
その他の同級生らは私ら三人のことを少し変わっているな、と解釈しているようだ。それの性質には別に悪意も善意もない。ただの三人組、長い付き合いの女の子三人。
私は学校の友人の二人に、血縁関係よりも強く、堅い友情、仲間意識、繋がりを持っている。だから学校で話す時間は私にとって家や映画館、ショッピングモールよりも重大な力を持っていると思う。その力が私を突き動かし、穏やかにし、笑顔にする。
カホとチエ、というのが私の友達だ。カホは背が百六○くらいあり、顔が小さく気品のある女の子だ。短くまとめると、よくできた美人。できすぎている、という生徒もおらず、告白を考えることすら憚られるくらいだ。
チエは背が一五〇あるかどうか、だ。巨乳で、私はたまに後ろから抱きついて揉んで触っている。そのうえ童顔で、絶対学校の先生も少しならエッチな目で見たことがあるに違いない。しょうがない。男というのはエロいことを考えなくても下半身の一部が臨戦態勢をとり、機関が起動してしまうものだから。
私は自分の容姿には何一つ問題などないと思っているが、ただもう少し胸が大きければいいなと思っている。整っていて、面長でよくリーダー的な雰囲気があると言われる。実際、中学の頃には学級委員長を任された頃もある。ただ厳しい性格をしている、と一度だけ言われた。
三人には共通する特色がある。モテる、勉強ができる、身体能力が高い。
男どもは体育の時間、チエの揺れるものを見ているので、先生がいない間、私とカホはよく男子学生に怒声を放った。
「チエの巨乳が見たいのか? ならお前らの禍々しく汚れた男の一物も見せるがいい!」
男らはバラバラに蜘蛛の子を散らすように逃げた。少し嬉しそうにしている生徒もいたが、そいつは無視しておいた。
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