第49話 颯太、目が点。乙女達の全力アタック②
(何か空気が!変な空気感が!こないだの病院みたいにならないよね?!(32話『みんなでにゃあと鳴く』/性的レイティング注意回)な、中庭でよかったぁ!……でも、今日は横に座ってお話をしたいって言ってたから大丈夫そうだけど……)
「あの!例えば!僕がこんな事言うのもなんですが、代わりばんこで皆さんとお話するとか、お花見みたいにお話するとかはダメなんですか?」
手を挙げて提案をしてみた颯太。
無論、先程の笹の葉と
が。
近は胸の前で両手を組み合わせて言い募る。
「そーた君そーた君。ここからが私達の本気なの!お願い!たまにはそーた君を独り占めしたいの!」
「そうなんですか……」
そんな近の言葉に『我が意を得たり!』とばかりに大きく頷いた那佳、夏津奈の主の
ここから本気という事は、さっき迄の二人は何だったんだろう……と頭を悩ませる颯太の前で三番手が登場した。
颯太の機転と頑張りにより男嫌いが治った特別待遇生の赤いブレザーの少女は颯太に背を向けて走り出し、10メートル程距離を開けた。
「
「はーい」
特別待遇生の証、自慢の赤いブレザーを琉伽に渡した聖良は叫んだ。
「颯太!聖良お姉ちゃんは、悲しいっ!」
「え?」
「この中で私だけ!颯太の裸見てない!」
「見せてませんよ?!それに真昼間から何を絶叫してるんですかー!」
顔を赤く青くさせる颯太に構わず、聖良はまたもや大声を出す。
「お姉ちゃんだって、颯太を裸にして保健体育の勉強をしたいのに!何で私にだけ、お医者さんごっこさせてくれないの?!」
「させてませんってば!」
ごいーん。
「久世宮家のお嬢様、あうとー」
必死にスカートの前を押さえながら放たれた近の踵落としが、聖良の脳天に炸裂した。
「そーた君が困ってるでしょ!全くもう!もう!」
病室での出来事をを思い出して顔を赤らめる近に、颯太は呟いた。
「僕、もう教室帰っていい?」
「ダメえ!ここからが本番なんだから!」
アピール大会として始めたメンバーが半分に減ってるのに、何故誰も本気を出してくれないのか、とうなだれる颯太の前に黒髪をサラリと靡かせてお辞儀をした少女が立ちはだかった。
「はい!じゃあ次は那佳の番ね!」
「仰せのままに」
四番手。
顔を赤らめて登場したのは近の御付き、那佳。
「四番手ー。夜な夜な
「またの葉は訳の分からない事を!颯太さん、お願いします!」
「あ、はあ」
今回も自分の気づかぬうちに『夜のお楽しみ』を暴露されている那佳は、颯太に深々と頭を下げた。
●
「颯太さん、隣……座ってもよろしいですか?」
「え、ええ。もちろんですよ!」
「じゃ、じゃあ……失礼いたします。え、えへ。えへへ」
ぽすっ。
赤い顔で微笑んだ那佳が、一人分の距離を置いて颯太の横に座った。
「……」
口を開きかけて颯太の顔を見ては、うつむく那佳。
(那佳さん、物静かな人だよね。癒されるなあ……)
普段から主の近と御付きの笹の葉の陰で目立たない那佳は、望んでいた特等席での颯太の隣ポジションにミディアムヘアの毛先を指先でくるくると弄っては、また颯太を見上げる。
「あ、あの!……私、お話しても……」
どがっ!
突如降り注いだ踵落としを頭上で受け止めた颯太。
「そー君、何で邪魔するー。ちらちら。ちらちらー」
「危ないですよ?那佳さんが怪我をしたら大変じゃないですか!下着見えてますよ?」
「!!!……?!……?!」
スカートの中をアピールしながら、『NO!NO!私は無実ね!』と両手を万歳する笹の葉が悔しそうな顔をする。
颯太の眼前ではチラチラどころでは無い笹の葉のお股の布が荒ぶっている。
颯太は必死に顔を背けながら言い募った。
「那佳さん、何も変な行動してなくないですか!」
「……那佳貴様、いい思いしやがってー」
「え?あっ!ごめんなさ……あれ?あれ?」
そんな那佳はというと、颯太に頭を優しく抱えられ、その鎖骨辺りに顔を埋めている。
聡太が慌てて体を離そうとするが、那佳が颯太の制服を掴んで、くんかくんか!と深呼吸を堪能しては離れない。
更に那佳の両手の指先が自らの太ももの外側でリズムを取るように動いている。
笹の葉は悟った。
あ、コイツヤベえ、と。
「こらー」
笹の葉により、小刻みに震え出した那佳が颯太から引きはがされた。赤らめた顔で颯太に手を伸ばす那佳。
「ああ!もう少しだけお願いします!」
笹の葉はそんな那佳の耳元で呟いた。
(夜の楽しみに取っとけー)
「そ、そんな殺生な……」
あああ……と手で顔を覆った那佳だった。
●
真っ赤な顔を手で覆い隠して校舎の方向に駆け去った那佳の背中を呆然と見つめる颯太。
「あ、あの。那佳さんはどうしたんですか?」
「そー君そー君。那佳は我慢できずに今から賢者になるー」
「え?」
●
大満足の那佳、リタイヤ。
残る変た……乙女、あと三人。
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