篠原千晶(4)

 役目を終えた空中型のドローンは、すぐに戻って来た。

 落下した所属不明ドローンの位置は、地上走行型のドローンがすぐに発見してくれて、トラックまで運んでくれたので、私達はする事はほとんど無い。

 私達は、トラックに積んでいた三輪バイクトライクを降す。

「手筈通り、トラックは遠隔操作。水天宮横の筑後川の河原で集合だ」

 そこまで心配する必要が有るかは不明だが……万が一、ドローンに爆発物が搭載されていた場合を考え、トラックは自動操縦。

 私達は三輪バイクトライクで集合場所に向かう。

「おい、あれ見ろ……」

 三輪バイクトライクに乗っていた関口が顔を向けた方向には……破壊された街頭防犯カメラ。

「始まったか……」

 どうやら、この久留米ではヤクザ同士の抗争が始まったらしい。だが、抗争当事者の1つが市内の防犯カメラ網を握っている。

 ならば、もう一方はどうするか?

「しばらくは……動き易くなりそうだな」

「犯罪者もな……」

 やがて、水天宮の近くに到着。

 壊れた空中用ドローンを背負った地上型のドローンが、わざと目立つ場所に居る。

『下手に出るな』

 瀾から無線通信。

 物陰に隠れて見守る。

 待つ。

 待つ。

 ひたすら待つ。

「なあ、尻取りでもやんない?」

「あのな……ちょっと危険だが……やってみるか」

 そう言って……私は「気」を放ち……。

「どうした?」

「居ない……反応なし……」

「おい、壊れたドローンのGPSは……」

「生きてる筈だが……」

 しかも、内1台には「魔法」による追跡装置らしきモノまで搭載されていた。

「なら、あのドローンを操作してた連中は、この場所を知ってる筈だろ」

 その時……。

 轟音が2つ……いや、3つ。

 1つは筑後川で爆発。

 別の1つは……おそらく、その爆発した何かの発射音。

 そして、もう1つは……。

「な……なに……あれ?」

「烏天狗? いや、違う……」

 曳光弾の光によって、空中に奇怪な影が浮び上っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る