篠原千晶(2)

 ウチの関係者が経営してる児童養護施設で保護されてる「薔薇十字魔導師会・神保町ロッジ」の関係者に安徳セキュリティの社長・行徳清秀の写真を送ると……返って来た答は「かつての所属組織の№3に似ているが当人じゃない」。

 ただし、そいつは見習いだったので、元・所属組織の幹部の個人情報など知ってる筈も無かった。

 とは言え、この辺りの方言に近いしゃべり方をした事は有った……気のせいかも知れないが……と云う情報は得られた。

「関西から情報が入って来た」

 更に、関口と私で残ってる限りのツテを頼って、行徳清秀に良く似た「魔法使い」と「対・魔法使い専門の殺し屋」に関する情報を探っていると、後方支援要員の権藤さんがそう言った。

「えっ?」

「関西の修験道系と云うか……忍者系の連中が……一気に何人もどこかに消えたらしい」

「忍者系? あの……安いマンガじゃ……」

「いや、でも、戦国時代なんかは、山伏がスパイをやった例が有った筈だぞ」

 私の指摘に関口が再指摘。

「お前も実は忍者とか?」

ちげ〜よ、と言いたいとこだけど……山での修行を結構やってんで、知らない奴が見たら忍者っぽく見える真似が出来ない訳じゃない」

「で……何て読むんだ、これ?」

 権藤さんが使っているPCの画面を見ると……。

『仄夢衆』

 関西の同業正義の味方から送られてきたテキスト・メッセージ中の、その文字が強調表示されている。

「『衆』って……おい……」

「ホントにこいつらだとすると……『魔法使い』殺しの『魔法使い』が……複数、久留米に入って来てる可能性が有る訳か……」

 マズいかも知れない……。

 ウチのチームで「魔法使い」系が一気に増えた事が裏目に出るかも……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る