高木瀾(2)
この辺り最強の暴力団・安徳グループ。
その中でも殴り込み専門部隊「安徳セキュリティ」の№2……単純な戦闘力なら安徳グループで№1どころか、日本有数を通り越してアジアの獣化能力者の中でもトップ3に入る化物……が、あっさり留置所行きになったせいで、その安徳グループ内で内紛が始まったらしい。
しかし……。
「それらしいの居たか?」
「いや……」
ホワイトボードに安徳グループ関係者の名前を書き出し、写真を貼り付ける。
しかし……居ない。
「ところでさ。何だよ、この、長男が清一、次男が清二、三男が清三って……」
「まぁ、私の家に比べりゃマシだ」
私は関口にそう言った。
「へっ?」
「瀾は大波・荒波、治水は文字通りの意味だが……」
「それがどうした?」
「父方の家系に伝わる戦闘術の技法の内……私の親父が身に付けられなかった技の名前だ」
「はぁ? どう云う家だ、お前ん
「だから変な家だ」
「……あ〜あ……嫌な予感がしてたが……四男は最悪だな。清四って……息子に『せいし』なんて名前付けるか?」
「判ってるだけで、合せて十数人の先代組長の子供の内、息子は、若い内に家出した次男を除いて、全員、組の内輪揉めで死亡。娘は二〇そこそこで、部下や他の『組』の幹部と結婚させられた」
「『させられた』?」
「ああ、政略結婚だ。安徳の先代組長は……ただでさえ二〇世紀のヤクザで……そんな経歴の奴らの中でも平均より遥かに男尊女卑的な考えが強いクズだったらしい。他の点でもクズだから……男尊女卑に関してもクズだと言うべきかも知れんが」
「じゃあ、怪しいのは、その次男か?」
「その次男は……今……警察官だ」
「へっ? ヤクザの組長の息子が警察官になれるのか? 採用の時に経歴か家族関係ではじかれるだろ」
「1つだけ有る……。
ゾンダーコマンド……ドイツ語で「特務要員」を意味する単語だが……元々はナチスの強制収容場で、他の収容者の死体の始末に関る仕事をさせられていた収容者を指す隠語だ。「異能力者を狩る異能力者」部隊に付けられた、あまりに悪趣味な呼び名だ。
「能力は?」
「母親が広島の河童『エンコウ』の家系だったらしい。それに由来する手足を伸縮させる能力だ。本人の身長より長く手を伸ばしたのを見た事が有る」
「魔法系じゃないのか……」
「おい、安徳の関係者で見た事が有る顔が居たんだが……多分、その写真が最近のモノなら、齢も同じ位だ」
その時、笹原が指した奴は……。
「ちょっと待て……どう云う事だ?」
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