高木瀾(6)

『はい、医療チームが既に待機します。出撃した人は、全員、まっすぐ拠点に戻らず、検査受けてから戻って来て下さい』

 地元警察に気絶してる河童軍団&狼男を引渡した後、権藤さんより連絡。

『僕も? 遠くから一発銃撃しただけだよ』

 そう言ったのは猿神ハヌマン

『規則は規則』

「アフターサポートは、前の職場よりいいけど……面倒くさいな」

 笹原がそう言った。

「私からすれば、こう云う事をやってなかった『自警団』の方が異常だ」

「でも、あの狼男、警察で何とか出来るのか?」

 続いて関口が聞いてくる。

「刑務所に入ったその日どころか、取調べが始まる前に脱走するかも知れんが……そん時は、そん時だ」

「そう言や、本土こっちの警察って、あの手の奴の取調べは誰がやるんだ?」

「誰って……?」

「いや……だから、銃弾も刃物も魔法もロクに効かない奴を、誰がどうやて殺されずに取調べるんだ?」

 あ……。

「権藤さん……ちょっと調べてくれ。久米の逮捕歴は?」

『今回が初逮捕』

「二〇年ぐらい前に逮捕された……久米と互角と言われてた、例の戦闘狂の阿呆は、どうやって取調べをしたんだ?」

『取調べも何も、証拠をそこら中に残してたから、わざわざ、本人に聞く事は無かったらしい。勾留中、ずっと薬で眠らせてたらしい』

「マズいぞ……また、あいつと戦うのか?」

 笹原が顔に手を当てて、当然の指摘をする。

 あと……奴が脱走する過程で……何人、警官が死ぬ事になるんだ?

「あ……」

 久米達を収容した護送車は既に走り去っていた。

「おい、久留米中の葬儀屋に『警察の寮と官舎の前で待機してろ』って連絡した方が良くねえか?」

「いくら何でも不謹慎過ぎるぞ」

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