高木瀾(5)
肘撃……そう見せ掛けた。
もちろん、当っても防がれる。
「余剰エネルギー放出。右下腕」
制御AIに命令を出した瞬間、右腕の放出口が開く。
「うッ⁉」
通常はパンチ力を高める為の装備だ。
久米は放出された余剰エネルギーを顔に浴びる。
もっとも、目眩しにしか成らない。
だが……時間は出来た。
「不自惜身命」
私は、過剰反応……俗に言う「火事場の馬鹿力」を引き出す自己暗示キーワードを唱える。
そして、そのキーワードは同時に、この「護国軍鬼4号鬼」のリミッター解除キーワードを兼ねている。
『リミッター解除。残り時間:30秒』
私は、初めて、この「護国軍鬼4号鬼」を使った際、勝手に制御AIの設定をいじって、リミッター解除機能を有効にした。
そして、1日の内に3回も……「火事場の馬鹿力」
寝込んだのが3日間、そして小便がコーラの色になったのが1週間、ついでに師匠でもある伯父から言い渡されたのが「一時破門」で済んだのは……我ながら「運が良かった」以外に評すべき言葉は無い。
当然ながら、この「護国軍鬼」を作った「工房」は……制御AIに余計な機能を付け加えた。
護国軍鬼4号鬼各部の余剰エネルギー放出口が展開。
「俺も……老いぼれたようだな……。テメエを本気にさせるまで……ここまで時間がかかるとは……」
「あんたの昔の喧嘩友達が長崎刑務所の特異能力者棟でお待ちかねだ。さっさと逢いに行ってやれ」
「あのマヌケ如きと一緒にすんじゃねえ。入った次の日には脱走してやんよ」
久米は猛ダッシュ。
私は左足に装着された杭打ち機の杭を地面に向けて打つ。
右掌を構える。
背中と脚部後方の余剰エネルギー放出口から放出準備。
装甲や筋肉の防御力を無視し、直接、内蔵を「揺す」打撃技「
だが……もし、これが外れるか効かなければ……あとは先にスタミナが切れた方が負けだ。
問題は、「火事場の馬鹿力」を引き出してしまった以上、先にスタミナ切れになる確率が高いのは私だと云う事だが……。
私と久米が激突するまで……あと……ん?
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