高木瀾(3)
「あ〜あ……あたしらが出る前に終ったか」
笹原と緋桜のヘルメットのカメラから送られている映像に写っているのは、数十人の河童がJR久留米駅前で倒れている様子。
甲羅の模様や形状その他の特徴を見る限り、「筑後川・遠賀川」系と熊本の「水虎」系が、それぞれ6:4ぐらい。
最初に緋桜と会った
いや……これ、数倍なんて
「どうだ、
「化物だ……ん?」
『ねえ、あの2人、たしか……』
緋桜から音声連絡。
「マズい……どっちがどっちか区別が付かない」
画面に写っているのは戦っている2人の獣化能力者。
それに関して問題が2つ。
問題その1。片方は仲間で、もう片方は鎮圧対象。
問題その2。ところが両者は、姿がほぼ同じ。
「久留米サポーター03にダイレクト通信」
私は、非番の仲間に通信を入れるように、既に着装が完了していた「護国軍鬼」の制御AIに命令。もっとも駄目元……。
『多分、この件だと思うけど、今、JR久留米駅に居るよ』
駄目元だと思ったら、瞬時に出てくれた。
「話が早いな」
『うん、デート中に今村君と今村君のお父さんが親子喧嘩を始めた』
「おい、あいつ、どこで変身した?」
『ちゃんと、
「で、あの親子、どっちがどっちか区別が付くか?」
『付かないよ』
「何で?」
『「何で?」って何で?』
「彼氏の裸ぐらい見た事有るだろ」
『まだ、やってない。人間の姿の時も、あの姿の時も。あと、それセクハラだよ』
「あ……あぁ……すまん」
私はため息をついた。
「両方ブチのめすしかない。最悪はな」
「おい、瀾……状況は……お前が考えてるよりマズいぞ」
ところが関口から指摘が入る。
「どう云う事だ?」
「あの2人、同じタイプの変身能力者で、しかも親子で、ついでに片方が敵で片方が味方……そうだよな」
「だから、さっきから、それを問題にしてる」
「多分、あの2人、『気』のタイプも似てる……。そして、それが『魔法』的にはかなりマズい」
「へっ?」
「目で区別を付ける方法が仮に有っても……うかつに攻撃系の『魔法』が使えん」
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