第一章:ナイトメアー・ビフォア・クリスマス
篠原千晶(1)
「ええっと……
私の目の前に居る冴えない小太りの眼鏡をかけた中年男に、そう訊いた。
「そこが困った所でね……。君と関口君が入るまでは、ウチのチームは『魔法使い』系が不足してたけど……今では、前線要員の半数近くが『魔法使い』系だ」
権藤敬三……福岡県久留米市と
五分刈りの私が
「能力的には関口と組むと互いの欠点を補い合う感じだけど……性格的には関口と似過ぎてる気がする。どっちかが間違った判断をするような状況では、もう片方も似た間違いをする危険性が有る」
横から、そう補足したのは……そこそこの筋肉は付いてるが、身長に関しては女としても小柄な方のヤツ。
高木
ちなみに、こいつの伯父であり日本最強の「正義の味方」候補の1人であるコードネーム「
なお、護国軍鬼2号鬼の
「なぁ、なら、あたしみたいに
続いて関口がそう言った。
私とこいつは……十年前の富士山の噴火で大量発生した「関東難民」が暮す人工島の1つ、壱岐と対馬の間に有る「NEO TOKYO SITE04」こと通称「台東区」の「自警団」のメンバーだった。
もっとも、私は「上野」地区が縄張りだった「寛永寺僧伽」に、関口は「入谷」地区が縄張りだった「入谷七福神」に所属していたが。
で、先月、ある事件で瀾が私の当時の所属組織の
そして、「本土」の「正義の味方」に再就職したはいいが……やってる事は年々役に立たなくなってゆく警察に代る民間の治安維持組織って点では同じなんだが「文化」は何から何まで違う。
「自警団」は今時珍しい超体育会系・上意下達型の組織なのに対して、「正義の味方」は上下関係が緩くて、人数が要るような事件の場合は、小さいチームが集って一時的に大きなチームを作り、指揮官が誰になるかは時と場合に依る。
「自警団」は主要メンバーの身元を公表してる場合も有るのに対して、「正義の味方」はメンバーの身元は後方支援要員・非戦闘員に到るまで厳重に秘匿している。それも、同じ「正義の味方」であっても他チームのヤツの前で同じチームのヤツを本名で呼ぶのさえ御法度だ。
「何って言うか……
「はぁっ⁉ 何だと?」
「ウチで使ってる強化服の制御AIには使用者の癖や動きを学習する機能が有る。使えば使うほど動きは自然になっていく筈だ。逆に使わなければ、繊細な動きは出来ないままだ」
私と関口がいつもの口喧嘩を始める寸前に瀾が口を挟む。
「そんなもんか……考えとくよ」
「じゃ……緋桜君とは……篠原君と関口君に交代でコンビを組んでもらって……相性が良い方を正式な
権藤さんは、そう結論を出し……。
「じゃ……じゃんけんで、どっちが先か決めるか」
「ほい……勝った方が先でいいか? 最初はグー……」
結局、勝ったのは私だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます