【休載中】女子校の提携寮の管理人になったが、JK達の距離が両極端で困る。

東権海

1章 就職先は女子校の提携寮

第1話 授業中の電話

 それは突然のことだった。


 私立三枚橋さんまいばし学園中等部・高等部。

 俺の勤め先の学校である。

 かなり有名なお嬢様学校で、中高大一貫のエスカレーター式。

 レベルは御三家のちょい下を走るほどの高さを誇る、正真正銘のお嬢様学校。

 

 今日の授業は高等部2年の世界史。

 もうすぐ2月なので、中等部入試の関係で休みがあるぶん急ピッチで進めていく。


「で、ここで世界恐慌が起こるんだ。世界恐慌はどこで始まったかと言うとはい、中山なかやまさん」

「えっと、ニューヨーク?」

「大正解。じゃあニューヨークのどこで起きた何が発端?」

「ウォール街の株価大暴落」

「なんだ、知ってるのか。まあいい、でこの暴落がきっかけで世界中が大不況に……おわっ!」


 教壇から落ちかける俺。

 教室はたちまち爆笑に包まれる。

 

「悪い悪い、最近どうも落っこちるんだよな。……で、何の話だっけ?」

「ウォール街大暴落のところです」

「ああ、そうか。これがきっかけで大不況に陥り、結果ドイツは経済が回らなくなっていったんだ。そうすると国民たちから不満が――」


 コンコン。

 不意に響いた教室のドアのノック音に、思わずドアの方を見る。

 すぐにドアがガラリと開き、先生が入ってきた。


作草部さくさべ先生、何かありました?」

北野きたの先生、お電話です」

「どこからですか?」

「総合病院からですね」


 なぜ病院?

 首を傾げつつ、とにかく自習を指示して電話に出る。


「もしもし」

「もしもし、北野沙也香さやかさんの息子さんの北野皆斗かいとさんでしょうか?」

「はい、そうです」

「えっとですね、沙也香さんなんですが、交通事故に巻き込まれまして現在入院しております」

「母がですか?」

「そうです。詳しいことは直接お話したいのですが、病院まで来ていただけますか?」

「分かりました。すぐに向かわせていただきます。なにか必要なものはありますか?」

「特に無いですね。受付で北野さんの長男であることを言っていただければすぐにこちらが向かいますので」

「了解しました」


 電話を切ってすぐ、教室に戻り今日は授業終了まで自習、自習監督は他の先生が来る旨を伝え職員室へ。


「作草部先生、ちょっといいですか?」

「どうしました?」

「母が交通事故に巻き込まれたそうで、病院へ行かないといけなくなってしまったので、4時間目の5−7の自習監督と今の時間の5−2の自習監督をお願いできますか?」

「いいですよ。早く行ってあげてください」

「ありがとうございます!」


 すぐに校長に話したところ、許可が降りたので病院に向かう。


 学校を出てから車でわずか15分。


 この街で一番大きい病院の受付に着く。


「すみません」

「はい、何でしょうか?」

「北野沙也香の息子です。電話をもらいまして来たんですが」

「北野さんですね。いま主治医をお呼びしますので、こちらの部屋まで移動してください」


 指示通りの部屋に移動した俺を迎えたのは。


「北野さん、こんにちは。お母様の主治医の片倉かたくらです」


 メガネをかけた若めの先生(ただし凄腕で有名)だった。




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 大変お待たせいたしました。

 2作目の第1話です。

 こちらの作品は、毎週火曜日と金曜日の朝8時の更新になります。

 なお、今後の執筆状況によっては休載することがあります。

 予めご了承ください。


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