第9話 交際戦争 Part5
「ふたりともずるい!なんでお姉ちゃんより先なの?抜け駆けするってことはまさか莉乃、わたしに喧嘩売ってる?」
その姉のセリフは、俺を混乱させるには充分だった。
なにせこちとら今朝まで冷たくされてきた人間である。
いくら態度が変わったからといって、そんな一瞬で慣れて信じられるほどいい人間じゃない。
しかし、この姉のセリフは俺を混乱させるだけでは終わらなかった。
「しずく、そっちこそ私に喧嘩売ってるんじゃないか?私にそう言うということは、こちらも売られてるとしてみていいんだな?」
「しずくさん、私だってこれでもかなり我慢してるんですよ?それとも一切の我慢無しだったほうが良かったですか?そもそも告白されたのは私ですし、あなた達お二人にこんな機会を設ける必要なんてないんですよ?」
それは残る2人、莉乃と楓の心のなかにくすぶっていた小さな嫉妬の火にガソリンをぶっかけたに等しかった。
一瞬で大きな炎と化したその嫉妬心。
それらはもはや俺の手では消火しきれないほどにまで成長してしまった。
「しずく姉、こうなった責任は取ってね?俺はとりあえずご飯食べてるから、邪魔にならないように慎重に、だよ?」
「……分かったわよ、こうなったのも私のせいだしね」
こうして、俺は黙々と3人が作った料理に舌鼓を打ち。
一方の楓達3人は本気の喧嘩へと移行するのだった。
しずくにつられてしずくの部屋へ移動した3人。
かなりの間上からドッタンバッタン激しい物音が繰り返された後、3人はようやく降りてきたのだが。
その容姿に思わず俺は持っていた洗い物を取り落とした。
「楓にしずく姉に莉乃姐さん?いったい何してたの?」
「見れば分かるだろ。女の戦いだよ。久しぶりに暴れたんだが、やっぱりなまってたな」
「いやいや、なまってたじゃないですって!あなたが本気出しちゃったらどうなっちゃうと思ってんですか!」
「別に私達3人が怪我するだけだけども?」
この人、いくらいま清楚大和撫子系女子高生だとしても、元ヤンであることに変わりはない。
当然そのパワーも並大抵の人とは比べ物にならないほど強いのだが。
そんな人をぶっ倒しちゃったお姉ちゃんが加われば楓なんて一発アウトである。
と思ったが。
何故か3人揃ってほっぺとかに痣作ってるくらいで済んでるのはなんでだろうか?
「楓、ひょっとしてだけど結構強かったり?」
「いちおう莉乃さんに特訓つけてもらってたしね」
うーん、返す言葉もない。
「とりあえず、結果発表といこうか。3人で上でなんかやってる間にご飯は頂いたよ。先に食べる?それとも結果を先に聞く?」
「「「結果先で!」」」
「満場一致、ね。じゃあ結果を発表するよ。今回の勝者は――」
「楓です!」
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次回で一旦一区切りです!
選考理由などが公表されます!
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