第4話 幼馴染への告白
緊張しながら迎えた放課後。
屋上へ向かい、深呼吸して気持ちを落ち着かせていると。
ガチャ
「ごめん、待った?」
「全然。さっき来たばっかだよ。それより急に呼び出しちゃってごめんな」
「いいよ全然。それより話って何?」
至近距離で向かい合い、楓の目を見て口を開く。
「えっと、その、さ。俺、楓のことがずっと好きだったんだ!」
その告白に楓は目を見開きながら、
「え?私?ちょっと待って、ずっとって前から?それっていつぐらいから?」
「ずっと前から。中学生になる頃からずっと好きだった」
「もう1個大事な質問ね。今も?」
「ああ。今も大好きだ。ずっと一緒にいたいくらいに」
その返答に楓の顔が赤くなり、それと同時にそのきれいな目から一粒の涙がこぼれ落ちる。
少し泣きながら、楓は俺の胸に飛び込んできた。
「やっと想いが通じた。もう3年は待ってたの」
「そんなに?」
「そう。律希もすぐに気づくかなって思ったけど、でも全然告白されなくて。もう私から告白するしか無いかって思ってたんだよ?」
「そうだったのか。もっと早くすればよかったな。ごめん」
「ほんとよ。もう、遅いんだから。もっと早くしてくれてよかったのに」
そういう楓だが顔は少し蕩けてるし、内心では全然怒ってないのがバレバレである。
と思いつつ口を開こうとしたところに。
ガチャバタンという開閉音とともに、
「ダメーー!律希は私のなの!」
「律希くんは渡さないぞ!」
「お姉ちゃんに姐さん!?急に何?」
姉と莉乃姐さんが乱入してきた。
渡さないだの私のだのって別に俺は誰かの所有物ではない……ってちょい待て。
今、姉は間違いなくこういった、「律希は私の」と。
「はぁ、やっぱり邪魔しにきましたか。しずくさん、莉乃さん」
「そうに決まってんでしょ!律希を誰かにやるなんてそんなの許さないんだから!」
「しずく、その言葉は聞き捨てならんな。律希くんは私のものだ」
「告白したのは私が最初ですけど?」
「楓、キミの告白が早いかどうかは問題ない。私が振り向かせればいいだけだ」
謎の口論が始まった3人に対して生まれた疑問をぶつけてみる。
「いろいろ聞きたいことがあるんだけど」
「何、律希」
「まず莉乃さんの一人称が違うのは?」
「ああ、昔はアタシだったんだけどな、生徒会長やってるくらいだから私に変えていた。で、キミの前では昔の自分を知ってもなお引かないかどうか見たくてずっとアタシにしていたんだ。まあ、そうする必要もなくなったけどな」
「そうなんですか。じゃあ次。2人はどこでこのことを知ったの?」
「ご丁寧に今日の昼休みに呼び出してたくらいだからな。すべてわかってたのさ」
「……そこは後で話すとして、一番聞きたいのはお姉ちゃんの「律希は私の」ってどういう意味?」
それに帰ってきた返事は至ってシンプルだったが。
「だってずっと好きだったんだもん!でも姉弟だから頑張って隠さなきゃってそれで冷たくなっちゃって、でもやっぱり誰かに取られるのは嫌だ!」
同時に莉乃姐さんを除く全員を驚かせた。
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今日のキャラ紹介
・浜野莉乃(はまの りの、JR内房線)
しずくと同じ高校2年生にして黒髪ロングの清楚系生徒会長。だがその実態は元ヤン総長で、しずくに潰された経験を持つ。口調はクールだが、単純に総長時代の口調が治っていないだけ。たまに本性が出るときもあるが、基本的には優しい人。弟問題でいつも悩んでいるしずくの親友で相談役。そして律希に惹かれた人間の1人。しずくには逆らえない。
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