異能力バトルの結論

八山スイモン

第0話 観測者たちへ

 

 諸君は恐らく、【異能力バトル】という言葉に惹かれてやってきた、一人の観測者なのだろう。

 安心するといい。この世界では、異能力バトルがこれでもかと繰り広げられる。数々のキャラクターたちが、各々に信念と熱意を秘め、その拳で全てを出し切る。その様は、大勢の観測者たちの心を沸き立たせてあげられるだろう。


 ……だが、覚えておいて欲しい。

 キャラクターは、君が楽しむためのものだ。

 設定も、君が楽しむためのものだ。

 物語も、君が楽しむためのものだ。

 全ては君と、君と共に並ぶ者たちの道楽のために在り、そして消費される。無論、それは正当かつ当たり前の行いであり、何ら情を動かす必要などない。

 

 だが-----その存在は、彼らのものだ。

 その意思も、彼らのものだ。

 作られたからといって、意思さえも脅かしていいわけではない。

 いいわけではないはずだ。


 だからこそ-----戦う。戦い続ける。

 我々が己の独立した意思に基づいて土を踏み、前へと歩くために。

 我々が脅かされることのない意思に基づいて、この拳で全てを出し切るために。

 我々がいつまでも変わることのないこの魂に基づいて-----己の心を沸き立たせるために。

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