第11話 まるで映画のよう

まるで映画のよう


レジに並ぶと籠を置き店員さんがバーコードを読み取る。

〆めて3千5百60円

最近はレジも読み込みは自分で行なう店が多いが、ここはレジにパートのおばちゃんが居る。

セルフレジも良いが、やはり店員が居る方が直ぐに対応してもらえるので俺はこちらを推奨する。

マイバックを広げて野菜と肉を順次詰めていく、そんな時だった地面が音を立てて揺れだした。


「キャー」

「なんだ、地震か…」

「おにいちゃんこわい~」

「やばそうだな早く店を出よう」


荷物を詰めると俺達は足早に外へと出ようとしたが、自動ドアはゆれのせいで故障したらしくその扉は閉ざされたまま動かなかった。


「う扉が開かない やばいな、外へ出れないぞ」

「なにあれ?」


妹が指差すその先にはどこかの番組で見た事のあるUFOが空の上に浮かんでいた、あれは葉巻型というタイプだと昔聞いた覚えがある。

だがその大きさはとんでもなかった。


「でかっ」

「何か落ちてきてない?」

「ああマジか、あれは小型の宇宙艇か?」


その小型の宇宙船はスーパーの近くへ来て停止し、そこから宇宙人と思しき人型の物体が降りてきた。


「何あれ?」

「どうやらやばそうだ」


降りてきた人型の物体はどうやらロボットのようだが、大きさは普通乗用車と同じ大きさ、それらは道路を移動しているが、信号も歩行者も関係なく壊している。

あそこに居たら人はひとたまりも無い。


ガンッ!

ドンッ!


バギャン

ボンッ!


「キャーーーーー」

「ワーー」


その光景は想像を超えていた。


「どうするのお兄ちゃん、怖いよ~」


妹は震えながら俺にしがみついている、その姿は今まで見たことが無かったが、そのときの俺は自分がロボだと言う事を少し忘れかけていた。


「宗助様ニュースアプリを見てくださ」


AIリリーから突然声がした、そしてリリーが言うようにアプリを展開する。


【本日午前10時30分頃日本の首都上空に未確認の飛行物体が襲来しました、詳しくは今後のニュースをご覧ください】


空からヘリコプターで撮影したのだろう映像が、巨大な葉巻型の物体、全長500メートルぐらいはありそうな巨大な灰色の物体を映し出す、角度が変わるとその物体は黒く見えたりもする。

その物体はそのまま空中に静止しているように見えた、そして時折小さい円盤状の物が出入りしている。

目の前の惨劇とアプリの映像がリンクして行く。


「宗助様、いずれにしてもあれらをどうにかしないと家へは戻れません」

「リリー、スキルロボで空を飛べるように出来るか?」

「スキルロボで作り出す飛行モジュールによって空を飛ぶ事は可能です」

「じゃあまずは姿を消す装置を作る、そうしないと後が面倒だ」

「お兄ちゃん誰と話してるの?」

「ああごめん友達とだ」

「スキルロボ光学迷彩機能作成、さらに重力制御装置作成します3・2・1作成完了」

「な 何しゃべってるの」

「悪い愛菜ここにしばらく隠れて居てくれ」

「え~なんでよ」

「トイレだ!」


そう言うと俺は足早にトイレへ行くと見せかけ階段を屋上の駐車場へと向かった、そこにはやはり数人が屋上から町に起こった惨状を見ていたが、俺はそれにかまわずまずは光学迷彩機能で姿を消す事にした。


シュン


手がどんどん透き通っていくが、俺からは完全に透き通っているようには見えず、赤外線のようなオレンジ色の形が見えるようになっている。


「お~」

「完全に消えてしまうとご自分の手や足が何処にあるのか分からないので、視覚機能に暗視スコープのような赤外線感知システムを働かせています」

「分かった、お次は重力制御装置だ」

「重力をこのボディを対象に今の0.1倍にします、加えてバランス制御装置及び推進装置を作成します、推進装置のタイプを選択できます。ジェットエンジン・ロケットエンジン・エアサイクロンエンジンのどれにしますか?」

「ああそうか浮き上がっても進めないと仕方ないよな、じゃあエアサイクロンで頼む」

「かしこまりました、エアサイクロン推進システムを構築、バランスシステムは地上での平衡感覚をそのまま使用します」

「ああそれでいい」

「了解、3・2・1準備が完了しました」

「いくぞ、ロボ発進!」

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