第18話
(千葉県・Kさん)
これは私が実際に体験した心霊体験です。あれはまだ私が中学生の頃でした。その当時、私の通っていた中学では生徒の間で「いじめ」が横行していました。いわゆる不良と呼ばれる生徒たちによるイジメです。
私も何度か仲間外れにされたり殴られたりしたことがあります。そういうことがあって以来、私は学校に行かず家でゲームばかりするようになりました。そしてそんな私を見て両親は心配し、無理矢理に学校へ連れて行こうとしたり、先生に相談しようと言い出したりしました。
そんなある日のこと、いつものように一人で部屋に引きこもりながらゲームをしていたときのことです。突然部屋の扉が開きました。私はびっくりしてそちらの方を振り向きました。そこには父が立っていたのです。父は私のことを怒ったような目つきで見下ろしています。
「父ちゃん……」
とっさにそう呟きましたが、次の瞬間には父は私の目の前から姿を消してしまいました。
「え!?」
驚いて辺りを見回しているうちに、今度は母が部屋にやって来ました。母は少し涙ぐんだような目をしています。
「お母さん……」
そう言って母の方に振り向くと同時に、私の身体は急に宙に浮かびあがりました。
「うわっ!」
驚きの声をあげたときにはもう遅かったのです。私の体は空中高く舞い上がっていました。そしてそのまま窓を突き破り、外に投げ出されてしまったのです。
地面に叩きつけられたとき、全身の骨が砕けてしまったかのような衝撃を受けました。それでもまだ私の意識はあったのです。体中が痛くて仕方ありませんでした。私は必死に立ち上がろうとしましたが、体が思うように動かないのです。
そんな私の姿を見た近所の人たちが集まってきて、救急車を呼んだり、誰かに電話をしたりし始めたようです。でもそのときの私は、ただ苦痛に耐えるだけで精一杯だったので、周りの様子など気にする余裕は全くありません。
やがて私は病院に運ばれました。幸い命には別状なかったようで、三日後には何とか歩けるまでに回復しました。しかし骨折のせいで私はしばらくの間、ベッドの上での生活を余儀なくされたのです。
その後、私は毎日病院に通いました。そこで私は、ある奇妙な光景を目にしたのです。
ある日、私は病室の窓から中庭を見おろしました。その日は快晴の穏やかな気候の一日でした。そんな空の下で、一人の看護婦さんが洗濯物を干していたのです。私は何気なくその様子を眺めていました。
するとその時、私のすぐそばのカーテンがふわりと揺れたのです。私は思わずそっちの方を振り返りました。でもそこには何もありませんでした。
「?」
私は首を傾げました。でもすぐに思い直して、再び看護婦さんの仕事ぶりを観察し始めたのです。
それからしばらくして、私はもう一度同じ現象に遭遇しました。
「あれ……? 今何か動いたような……?」
私は窓の外を見ました。しかしそこには何もありませんでした。「気のせいかなぁ」
私はそう思ってまた看護婦さんの様子を観察しました。するとまたもや同じようなことが起こっていたのです。
「やっぱり動いてるよね?」
私は自分の目を疑いました。でも間違いないんです。確かに看護婦さんのいる方で、カーテンが動いているように見えました。でも看護婦さんの方はそれに全く気がついていないのか、仕事を続けてます。
「どういうことだろ?」
私は不思議に思っていました。その時、私の頭に一つの考えが浮かんだのです。
「もしかしたらあの人、幽霊が見えるんじゃ……」
私はしばらく呆然としてしまいました。
「そんな馬鹿な……」
私は自分で自分に突っ込みを入れました。でも他に説明はつきません。私はどうしたらいいかわからなくなってしまいました。
結局私はそのことを誰にも言わず、そのまま退院することになりました。でも今でも時々思い出すことがあるのです。あのとき見たものは一体なんだったんでしょうか……。
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