第19話 【幕間】 君を救うということ、又は、否定するということ

***


何度、君を見送っただろうか。


いつだって、君は笑って僕達を。

……いいや、あんなに欲していた家族を遺して逝くんだ。


それを、変えたかった。


君を救いたかった。

でも、いつも、いつだって君は……。


君の選ぶ答えは決まっていて。

結局、僕は君を救えないんだ。


失敗して、絶望して、君の空っぽな体を抱きしめて。

喉を潰して、泣き叫んで。

でも、今度こそと思って、何度も何度も君を見送って、ようやく僕は君を救うための欠片ヒントを手に入れた。


あの世界で、僕は欠片ヒントを手に入れた。

君が容易く禁忌に触れて。

とある少年の命を、繋いだ世界時間で。

君はやっぱり人では無くなっていたけれど。

でも、笑っていたことを知っている。


そして、確信したんだ。


家族を作らせなきゃいい。

欲しがっていた存在を。

怖がりながら、それでも君が手を伸ばして掴み取ったものを、否定してしまえばいい。


それは、とても簡単で。

でも、とても悲しいことで。

僕としても、望まない答えだ。

あの子たちに会えないのは、僕だって嫌だ。


でも、それで君が、人間として生きてくれるなら。


人間として生きて、そして、他の誰かと家族になって、欲していた存在を手に入れてくれるなら。


そうして、笑いながら天寿を全うしてくれるなら。


きっと、傲慢だろうけれど、それが君の幸せだと思うから。

それが、君を救うことになると思うから。

だから。


今度こそ。

今度こそ。

今度こそ。


君に憎まれていい。

恨まれていい。

嫌われていい。


それでも、僕は君のことが好きだから。


君を愛しているから。


君には幸せになってもらいたいから。



僕は君を救う。


これは誰にも邪魔させない。


そう、本来の魔族エドにも。

真祖の吸血鬼ジルにも。

そして、君の幼馴染コウにも。


誰にも邪魔させやしない。

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