11話-理不尽なテスト1
1
一部が焦土と化した草原に女が2人。
櫻巴と彼方の事である。
「まさかこうもあっさり魔法を作り出せるなんてね。まぁ分かり切ってはいたけど、木を燃やし尽くすとは思わなかったよ」
「気を付けるよ、うん」
「それじゃあテストをして終わろうか」
「え、もう?他にないの?」
「無い。あとは学校で習うといい」
(2日魔法使っただけで終わり?数年基礎訓練させてきたお母さんの口から出る言葉とは思えないけど...)
「テストの内容は、私に重い1発をぶち込む。以上」
「は?」
「期限は無期限」
「え?」
彼方は鳩が豆鉄砲をくらったような顔をしている事だろう。
昨日の花火(爆弾)も無傷で守り通す人だ。
(どうやって攻撃当てるの...???)
「学校を卒業しても、私に魔法を当てられなかったら冒険は出来ないからね」
「えー!?」
その代わりと言い報酬を提示する。
「攻撃を当てたら中央大陸以外の事も教えるし、彼方の知りたいことも何でも教えるよ。勿論、手加減するから安心して」
「絶対だよ!手加減してね!」
手加減するという言葉でやる気がみなぎってくる。
それならワンチャン1発当てられるかもと淡い期待を抱く。
「さ、いつでも来な」
「いくよ、お母さん!」
全力で、と行きたいところだが我慢する。
とんでもない威力を持った魔法が発動されるからだ。
使う魔法はオリジナルではなくリーサルアーカイブの物を使う。
効率は悪いが、最弱の一撃を入れれば終わりだ。
(対人は苦手なんだけどなぁ...)
パっと目は隙だらけの櫻巴にどんな一撃をいれるか。
(おとり攻撃とかかなぁ?)
『漆黒なる宵の明星』
「おっと仕掛けてくるね?」
(これで視界不良とdotが入る)
『断罪機』
(時間差攻撃、断罪機は発動までに時間がかかる)
『さようなら。失敗作』
櫻巴の魔法により、漆黒なる夜明けがレジストされる。
「それじゃあ当たらないよ」
断罪機をひらりと躱し、奥へ逃げる。
不可能に近いテストが始まりを告げた。
2
笑い声を上げながら逃げる櫻巴。
彼方はどうすれば追い詰めることが出来るか考えていた。
(最初の魔法はレジストされる。3つ目の魔法を本命にしたら当たるかな?)
使えそうな魔法を思い出す。
(なんかーなんかー、うーん...)
「よし」
使う魔法は3つ。
泥沼、千年の誓い、毒蛇のコーラス。
『泥沼』
「それじゃあ甘いよ」
櫻巴の足元に泥沼が生成されるが、櫻巴は軽々と泥沼を飛び越える。
しかし飛び越えるという事は、地に足を付けていない時間がわずかに存在する。
『千年の誓い!』
5本の剣が櫻巴に襲い掛かる。
『さようなら。失敗作』
『母の寵愛』
当然レジストされる。
しかし彼方は3つ目に本命をぶつけるつもりだ。
『毒蛇のコーラス』
(よし、毒蛇のコーラスは確定命中の技。決まった!)
しかし、空中で火花が散った。
毒蛇のコーラスは微量のダメージと毒の追加効果があるはずだが、櫻巴は傷を負った形跡も無いし体調が悪化した様子もない。
(もしかしてさっきの火花って弾かれたって事なの!?)
「本当に手加減してるの...?」
「企んでる事が顔に出てるよ、彼方」
「うぐっ」
櫻巴は心底楽しそうに森の中へ消えていく。
彼方もそのあとを追うのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます