第27話
亮平はロングソードを抜いた。
彼の装備は村で出会っていた頃から変わっていた。左手には鉄の補強が入った木の盾があり、胸には板金鎧を着ている。格好だけでは確かにゲームの主人公が少しレベルを上げた風になっていた。
「木じゃなくて鉄の盾がよかったんだが、そんなの無いってよ」
亮平はぶつぶつ呟きながら、鉄兜を被り盾を構える。
「借りがあったなよな橙夜……今返すぜ」
背後で素早くアイオーンが動く。が、アグラライアーは予想していた。
「ダーク!」
不意に周囲が真っ暗になる。アグライアーの魔法だろう。
「何だこれは!」敵味方関係ないようで、バロードの驚愕も聞こえた。
「ライト」光の魔法が双方で始動した。
澄香とアーレントだ。
ただ、魔法の光は限定的で、部屋の隅までは届いていない。
ジュリエッタとルセフが光の中心へと歩み出そうとした。
「待った」と橙夜はジュリエッタを止め、「余計なことをするな!」と亮平もルセフに怒鳴る。
「決着だ橙夜、そうだろ? お前もその為に来たんだろ?」
「ああそうだ。ここで一騎打ちだ」
スポットライトが当たっているような闇の中の唯一明るい場所へ、二人の戦士が入った。 アグライアーはそれでも暗躍しようとしたようだ。
「ダメよ、彼等の邪魔はさせない」アイオーンはいつもとは違う真剣な口調で阻止する。「ロープ・ムーヴ」
「く」どさりとどこかでアグライアーが倒れる音がする。
「しばらく動かないでね」
橙夜はアイオーンに感謝したが、今は振り替えられない。
目の前の川中亮平との対決に全てを集中している。
亮平は体を斜めにし盾を向けている。それでこちらの武器を受け、次の瞬間に斬りかかるつもりだろう。
「へ、待ってろよ澄香、今日はお前を可愛がってやる。こいつの死体の前でな……他の女どもも纏めて面倒見てやるよ。このゲームは俺のハーレム物さ、それもすっげーエロゲーだ!」
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