閑話 剣士に罪

「…!?師匠!」

「…っ!?レ、レア…?」


な、なんでレアがここに…?

私はレアから逃げる用にこんな所まで来て…それで

いや、もしかしてレアじゃない…?


「はい!師匠!俺はレアですよ!」

「あ…いや、何で…レアは、こんな所に…?」


やっぱり…やっぱりレアだ!

でも…なんで私なんかの所に…?


「そりゃあ師匠と会いたかったからですよ!」

「ほ、本当に!?あ…いや、そうだよな、レアは私を恨んでいるから当然だよな…」


だって私はレアを裏切って、悪評まで流して

そんなクズに復讐したいと思うのは当然だよな…


「えー?恨んでなんていませんよ!師匠は恩人ですからね!師匠こそ何でこんな山奥に?」

「それは…剣を鍛える為に…」


だって、父からレアは私の振る剣が好きだと

そう聞いたから…


「でも師匠、凄いボロボロじゃないですか、ちゃんと休んでます?」

「お、お前は…本当にレア、なのか…?」


こんなに私に都合の良いことばかり言うなんて

これは私の見ている幻覚じゃないのか?


「はい、本当にレアですよ」

「なら…あの事は恨んで無いのか?」


私がお前を裏切って、悪評まで流して

お前を深く傷つけた筈だろう…!?


「はい、確かに師匠と冒険出来ないのは悲しかったですけど、恨むなんてとんでもない!」

「はは、はははは!そうか、それは…良かった」


レアはこんなに優しくて、なのにレアを裏切って

その癖レアは許して無いと決めつけて…


私の裏切りすらレアはとっくに許してたのに…

それなのにレアを疑って…


私、最低だ…

ああ…意識が、とおのいていく…


ーーー


「んぅ…ん!?レア、レアは!?」


怖い!あれが夢かもしれないなんて嫌だ!

レアと会いたい!レアと一緒が良い!


「あ、師匠、起きたんですか…大丈夫でした?」


え…?じゃあアレは現実で?

レアは本当に私を許してくれて…?


「レ…ア?うぁ…うぅぅぅぅぅ!!!」

「ちょっ…師匠!?泣かないで下さいよ!」


良かった…これでレアと一緒に居られる

レアと、一緒に…


「レア…ありがとう…!」

「師匠を助ける位当然の事ですよ」


師匠、か…

まぁ、流石にセイルとは呼んでくれないよな


「そ、そうか…それと!あの…その…」

「あ、師匠、セイルさん起きましたか?」


…ッ!?

なんで…なんでここにアリスが…?


「おうアリス、師匠は起きてるぞ」

「なら早く何か食べさせた方が良いんじゃないですか?」


…アリスに責められてる気がする

私は許されて無いのになんでお前だけ、って


…その通りだ、私は本来ならもっと責められるべきで、なのにレアの優しさにつけこんで…


「ああ!そうだよ!師匠!お粥ならすぐ作れますから!食べて下さい!」

「ああ…分かった」


レア…やはり私が幸せになるのは間違っているんだろうな


でも、少しだけ、夢を見させてくれ


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