閑話 魔術師の優しさ

私はクズだ、師匠を裏切り誰とも知らない男に操られてしまっていた


だから私は人と関わるのを辞めた

もう二度と私は幸せになってはいけないから、もう誰も不幸にしてはいけないから


そして私は嫌な記憶を振り払うように魔術の研究に没頭した、自分の裏切りを忘れる為に…


ーーー


「なぁ、アリス、何でお前は引き籠もってるんだ?教えてくれよ」


師匠!?!?!?

なんで私の所に!?


もしかして裏切った私を罰しに…?

いや、でももしかしたら私を許して…いや、いくら師匠でもそんな事してくれる訳ないか


「…師匠、私を怒らないんですね」


でも私は師匠に出会い頭に怒鳴られても文句の言えない立場だ、なのにわざわざ優しく聞いてくれるなんて、勘違いしちゃいそうです…


「いや、お前はちょっと恋で盲目になってたんだよ別にいちいち目くじらを立てる事じゃない」

「…そうですか」


あんな奴に恋なんて…

やっぱり師匠は怒っているんでしょう…


「…アリス、もし嫌なことがあって、現実逃避の為に強くなろうしてるのなら辞めておけ、虚しいぞ」

「…!師匠は、なんでもお見通しですね」


少しためて、師匠は私のしている事に対して忠告をしてくれた、でも師匠、私はもう止まれないんです強くなるだけ強くなって、そしてアイツを…


「俺もそうだったから簡単に分かるだけだ、それと俺はもう師匠じゃない、レアと呼べ」


…え?師匠じゃ…ない?

師匠は師匠じゃなくて?でも師匠は師匠で?


もう、師匠ですら居てくれなくなって?


「…そうですか、師匠…レアさん、今までありがとうございました」


本当にごめんなさい師匠…レア先輩

今まで、ありがとうございました…


やっぱりこんな女、師匠も…レア先輩も嫌ですよね

…本当に、本当にごめんなさい


ーーー


「アリス!居るか!」


師匠!?

どうしてここに…


「ししょ…レア先輩?私は部屋の中に居ますけど…」



「アリス、ドアから離れろ」

「へ?なんで…」


「いいから!」

「は、はい!」


し、師匠が怖い、一体何が…


「…よぉ、アリス、久しぶり…いやそうでも無いかでもこうまじまじ顔を見るのは久々だな」

「ししょ…レア先輩!?研究室のドアを…最上級魔術にも耐えるのに…!」


なんでこんな所に…

それに凄く焦って、本当に何が…?


「アリス…大丈夫だったか?」

「え…?師匠が私を心配してくれてる…いや、そんなわけが…あれ?でも師匠は優しくて、それで…」


どういうこと?師匠が私を心配してくれる?

夢じゃなくて?なんで?私が裏切ったのに…


「なぁ…アリス、どうしたんだよそんなに怯えたような顔をして、何があったんだ?」

「わ、私は師匠を裏切って、それで…アイツの言いなりになって…ごめんなさい、ごめんなさい!」


炎属性上級魔術【フレアボール】

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