天王洲中学探偵部への挑戦状。

どまんだかっぷ

第1話

 キンコンカンコーン――


 天王洲中学のチャイムが鳴ると、クラスのみんなは一斉に部活や帰宅の準備を始めた。


「おーい、まだ帰りの会が終わってないぞー」


 先生の声に、仕方なく席に着く生徒たち。


「先生、早くしてよ。早く帰っておやつ食べたいんだよ」

「部活行かなきゃ」


 好き勝手言いたい放題だが、先生も簡単な連絡事項だけで、さっとクラスを解散する。


「品川、はやく部室に行こうぜ。部長が今日は一大発表があるって言ってただろ?」


 そう呼ばれたのは、2年の品川すみれ。


「大井君、そんなせかさないで……」


 やんちゃっぽい大井の後を追って、すみれもおどおどしながらも走り出した。


 二人が向かった先は『探偵部』の部室だ。


 ガラガラっ。


 扉を開けると、すでに部長の戸越さくらが待っていた。


「お、来たね。二人とも。じゃあ、そろったかな」


 そう、探偵部はこの3人で全メンバーだ。


「部長、なんすか、重大発表って」


 大井が待ちきれないという表情で部長に迫る。


「まあ、待て。順を追って説明しよう」


 部長は二人を席に座らせると、自分は教壇に立った。


「今朝、顧問の先生からこの手紙を預かった」

「手紙ですか?」

「うん。中身を見ると、どうも……」


 大井が身を乗り出す。


「もったいぶらないでくださいよ」

「わかった。わかった」


 部長はこほんと一呼吸置くと、続けた。


「どうも犯行予告らしい」

「犯行予告!?」


 大井は俄然わくわくした顔で叫んだ。


「じゃあ、読むからね」


 部長は手紙の内容を読み上げた。


『天王洲中学探偵部の諸君

 〇月△日に大岡製材所のすべてをいただく。

 守れるもんなら守ってみたまえ。

 怪盗オゾンカ』


 ……〇月△日……明日の日付だった。


「これって、私たちへの挑戦状よね?」


 部長が挑戦状の裏表を交互に眺めながら言った。

 大井がその挑戦状を奪い、じっくりと眺める。


「なんか探偵部にふさわしい展開じゃんか」


 そんな大井を横目に、部長はすみれの様子がおかしいことに気が付いた。


「……ん?すみれ、どったの?」


 部長がすみれの顔を覗き込むと、すみれはおどおどしながら答えた。


「あの……大岡製材所って、うちのおじいちゃんの会社なんです」


 それを聞いて、部長と大井は目を合わせた。


「えええー---!?」



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