自由人の異世界旅行記

ゼロの文字書き

自由人、異世界を旅する

第1話 自由人、異世界に召喚される

 どうも皆さんこんにちは‼ ボクの名前は江崎えさき 幸音ゆきね。バリバリの現役女子高生だよ‼


 さて、そんな女子高生のボクは今何をしているのかというと。……クラスのみんなと一緒に異世界に召喚されたんだ‼ イヤッフー‼

 学校の休憩時間中、突然床に魔法陣がピカー‼ って浮かび上がって。気が付いたらこう、如何にも王城の王の間ですよって場所にいたんだ。


 そして今、エルセルクっていう皇帝陛下が、魔族を倒すために力を貸して欲しいだのなんだの言ってるけど。召喚っていう時点で拒否権なんてないも同然だよね。


「──であるから、魔族と魔物を束ねる魔王を倒したら、元の世界に帰還することが出来る。そのため、人類のため戦ってほしい」


 何でも、この世界の人類と魔族はこの大陸──ウェルバトス大陸の覇権を握るため戦争をしているらしい。

 今は人類が優勢だけど、魔族の抵抗が激しく、殲滅できないらしいから、異世界から勇者を召喚すればいいと考えたらしい。

で、ボクたちが帰るには魔王を倒す必要があると。


 ……ぶっちゃけ、魔王を倒したところで帰れる保証はないし、こいつらもボクらを帰す気はないだろうね。

 え? なんでそんなことわかるかって? 普通に考えて、召喚した本人以外に帰還させる方法を知る人物はいないでしょ。で、貴重な戦力を自ら手放すとは思えないし。


 それにさっきからちょくちょく意識を誘導するような不思議な感覚があるんだよね。なんか、帝国のために戦わなきゃいけないみたいに。


 みんなも最初は家に帰せーとか、ふざけるなーとか、反発してたけど、皇帝が話を進めるうちに、何かやってやろうみたいな雰囲気になったんだよね。


 ボク? ボクは普通だよ。なんか不思議な力が効いてないみたい。


 あ、話が終わったみたい。で、なんか腕輪みたいなものを配ってる。テンプレよろしくステータスを表示する道具みたい。名前は、ステータス・ブレスレットだって。


 そして、ボクのステータスは以下の通りです。


名前 江崎 幸音

性別 女

年齢 17

職業 魔法術師

レベル 5

HP(体力) 20

MP(魔力) 850

STR(筋力) 10

INT(魔法攻撃力) 190

DEF(物理耐性) 15

RES(魔法耐性) 150

AGI(素早さ) 100

LUK(運) 90

スキル 魔力泉、言語翻訳、◻️◻️◻️◻️

適性 全属性魔法適性、杖術適性


 テンプレの如しチートステータスだ、わーい!!

あ、スキルの説明はこうです

魔力泉:魔力の最大値と回復速度の大幅な上昇

言語翻訳:この世界における言語の自動翻訳

◻️◻️◻️◻️:<このスキルに関わることは表記できません>


 それにしても何ですか、この魔法系統のステータスの値。高すぎません? あと、◻️◻️◻️◻️って何? 意味わからん。


因みに、この世界の17歳男女のステータスはこんな感じです。


性別 男(女)

年齢 17

職業 平民

レベル 5

HP(体力) 35(25)

MP(魔力) 75(90)

STR(筋力) 30(20)

INT(魔法攻撃力) 90(95)

DEF(物理耐性) 35(25)

RES(魔法耐性) 70(85)

AGI(素早さ) 90(75)

LUK(運) 40(40)

スキル 基本的に一つ

適性 本人の学んだこと、身に着けたことによって増える


 職業を見て予想してたけど、魔法関係に関してはやっぱり高いね。


 あ、比べてみるとボクって、物理に関しては非力なんだね。

 年頃の少女よりも筋力がなくて、装甲も幼女並み。杖術とか筋力低いから、殴っても威力出ないでしょ。

 そして何故か異様に高い素早さと運。

 素早さに関しては、逃げ足が早いからわかるけど、何故運が高いのか。


「おい、貴様!! 陛下の話をしっかりと聞け!!」


 騎士の人に怒られてしまった、てへ☆


「さて、ステータスは確認できただろう。異世界人である君たちは、この世界の一般人達とは比になら無いほど強力な力を有している。是非、人類のために手を貸して欲しい」


「……わかりました。僕たちの力、皆さんの為に是非役立たせてもらいます。そうだろう、皆!!!!」


 皆の頼れるリーダー、クラスの中心人物の、高城たかぎ 雅也まさや君が代表して宣言する。


 あの、ボク…そこまで役に立ちたいとは思ってないんだけど。

 と言っても皆ノリノリだから、ボクもノっておかないと何か言われそうだ。


「それはありがたい。……では、君たちの歓迎のため、ささやかな宴を行おう。準備まで時間がかかるから、今から案内する各部屋で待機していてくれ」


 そうして、ボクたちは王の間から退出するのだった。

 退出するときに気になったのが、あの皇帝、ボクのこと見てなかった?



「やれやれ、今回の勇者達は随分手懐けるのが容易でしたな」


「勇者を名乗るならもっと張り合いがないといけませんな」


 ユキネ達が退出した王の間で、彼女達を嘲笑する会話が響き渡る。


「そう言ってやるな。彼らは既に皇帝陛下のスキルの手中に嵌まっているのだ。無理もあるまい」


 そう、ユキネが感じていた不思議な力とは、皇帝のスキルによるものだった。

 皇帝のスキルは他者を自身の支配下に置き、洗脳するというもの。無論、完全な支配下に置けば、絶対に逆らわない兵士の出来上がりだ。


「そうですな。それにあの腕輪には洗脳を強める効果もある。そう簡単に逃れられまい」


「しかし、完全な支配下に置けばあのような説明は不要でしょうに」


「なに、完全支配をするよりも、意識がある上で支配した方が面白くなるだろう。自分の思い通りにしかならない遊戯ほどつまらないものはない」


 皇帝にとってこの勇者召喚も、大陸の覇権を握るための戦争も所詮、自身の娯楽を満たすものでしかない。


「さて、今回も多少教育を施してすぐに戦場へ放り込むのですかな?」


「……いや。今回は少し様子を見る」


「それは、何か新しい遊びでも思い付いたのですかな?」


「……ユキネという小娘……余のスキルを弾きよった」


 皇帝が言葉を溢すと、配下達はざわめき始めた。


「馬鹿な!? 陛下のスキルを弾くなどあり得ない!!」


「そうですぞ!! 陛下のスキルはこの世において絶対。それを弾くなど、魔王に匹敵する力を持ち合わせていないと不可能だ!!」


 配下達にとって、皇帝の力はそれ程までに強大な力だと認識している。

 事実、過去に魔王軍の幹部すらも支配下に置くことができた。それを、勇者の一人とはいえ、ぽっと出の小娘が防ぐなど異常以外の何物でもなかった。


「だが、あの小娘は弾きよった。事実、あやつは余の会話中、余を無視するような行動を取っていただろう?」


 確かに配下達にも覚えがあった。近衛の一人がそれを指摘していたから。

 だからこそ、それを聞いた皇帝はユキネにスキルの効果を強めたのだ。だが、結果は無効化された。


「他の勇者どもはいい。だが、あの小娘だけは警戒しなければならないようだ。もし、余の邪魔になるようなら──排除しよう」


 そうして、彼らはユキネへの警戒を強めていく。



「いやぁ、満腹満腹」


 宴会で料理をたらふく食べた後、ボクは部屋のベッドで寝転がっていた。

 それにしても、建物の外観とか完全に中世のそれだったから、食事もそれなりかなぁと思ってたけど。結構旨かったじゃねぇか。この城の料理人、中々の腕を持っていやがる。


 さて、それはそうと、魔法なんて面白いものがあるんだ。試してみなきゃ損だよね。

 というわけで、ここの図書館に侵入して勉強しよう!!



〜少女勉強中~


 なるほどなるほど。つまり魔法には基本属性の火、水、風、土の四つと、上位属性の雷、氷の二つ。特殊属性の光、闇、時間、空間の四つ。系統外の無と回復、計十二個の属性があって、初級、中級、上級、超級、絶級、星天級の六個の階位があるのか、へー。


「というか、魔法の種類は載ってても、肝心な使い方が載っていない……」


 何で一緒の本にしてないんだよ。こういうものはまとめておくのが基本でしょ。


 別の本にあるかなっと……この本かな?

 ふむふむ、なるほどなるほど。……専門的な論文見せられても一切わかんないよ!!

 たく、こっちの本かな?


 何々? 魔法を頭の中で思い浮かべて、詠唱することで魔力が通り、魔法が発動するらしい。で、属性や階位によって、魔法の見た目や大きさは変わるとのこと。

 ちなみに、階位の高いものほど、詠唱は長いらしい

 定番なものだと、魔力を直接操作できるものがあるけど、この世界では出来ないのかなぁ。

 とりあえず簡単な魔法を唱えてみよう。


「──水の球よ、放たれよ──《ウォーターボール》」


 詠唱すると同時に伸ばした手から魔法陣が現れ水の球が勢いよく放たれる。そして、直線上にある花瓶にぶつかり破片を飛び散らせた。


「…………。よし、見なかったことにしよう‼」


 割れた花瓶なんてなかった。いいね?

 証拠隠滅をしながら、ボクは魔法について考える。

 さっきは、描いてある魔法陣をそのまま思い描いたけど、中身や詠唱を変えてみたらどうなるんだろう?

 試してみたいけど、流石にここで実験すると図書館が荒れるから、実験は後日やろう。どうせ鍛錬の時間とかあるだろうし。


「さて、証拠隠滅もできたし……一度帰るか」


 そうしてボクは、あるスキルを発動する。

 さぁ皆の衆……刮目せよ!!


『──◻️◻️◻️◻️──接続、世界移動魔法、発動、行先、──地球──』


 瞬間、ボクの目の前に黒い穴が現れる。

 ふぅ……この力を使うとものすごく疲れるなぁ。

あ、これがステータスに書いてあった『◻️◻️◻️◻️』の力です。どう? すごいでしょ?

 ……まぁ、誰も気づいてないから反応ないけど。

 まぁいいや、とりあえず帰ろう。


 そしてボクはその穴に迷わず足を踏み入れるのだった。





あとがき


どうもお久しぶりです。

こちらの作品は、初めての異世界召喚ものでして、色々と設定の甘い所があったり、矛盾した文章、突っ込みどころ満載な部分があるかもしれません。ぶっちゃけ、読んでくださった人から、ここおかしいぞ‼ とか言われそうで戦々恐々としています。

それでもよろしければ、是非読んでいってください。

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