「空と海と大地」
佐々木 煤
「海」 「誕生日」 「俵」
夜が始まった時、空と大地が交わって海が生まれた。空は壮大な心の一部を、大地は広大な体の一部を与えた。空は言った「あなたが誰からも愛される子になるように私が支えになりましょう」。大地は言った「あなたがいつまでも元気でいられるように私が栄養を与え続けましょう」。
海ははじめは小さな水たまりだったが、やがて大地と同じくらいの大きさに育っていった。海は広い心を持っていたので、体を様々な生物に分け与えた。どんな生物が栄えようとも、空が支え、大地が育んでくれたので海は気にせず過ごした。
いくつもの誕生日が過ぎ、海はいつの間にかしょぼくれるようになっていった。体の中にいた生物が消えていた。大地の生物から俵のようなものが投げ込まれるようになり、体が赤くなっていった。なんだかそれがたまらなく嫌な行為に思えていた。
「空、大地、僕は今まで楽しく生きていました。それはあなた方のおかげです。でももう嫌になってしまいました。」
空は言った「私も悲しいあなたを見ているのは辛いです」。大地は言った「あなたが望むなら終わらせることも出来ます」。海は終わりを望んだ。
海が消え、空と大地だけ残った。
「空と海と大地」 佐々木 煤 @sususasa15
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