【8】俺、水田作ってきます


 やはり米か。

 え、まさかの水田作りから? いやいや、まさかそんな。


 ……。

 いや、意外と悪くなくない?


 まさにスローライフって感じするよね。

 元の世界で生きていた頃は、絶対手に入らないと思っていた、憧れのスローライフ。


「ねえディル君」

「何でしょう」

「もしかして、水田とか……作れたりする? すぐに。えいやって」

「できますよ。すぐに。えいやって」

「うぉっしゃあ女神様ありがとう! ディル君も!」


 あ、尻尾振っている。私のなおざりな褒め言葉にもしっかり喜んでくれてる。

 ごめん。今度からちゃんと褒めるね。


「それじゃあ俺、水田作ってきます。すぐ近くにいい土地があるんで」


 まるでコンビニから飲み物買ってくるノリである。


「お、おう。何というか、すごいねディル君。ありがとう。よろしくね」

「はい! あ、それと」


 出がけにディル君が言う。


「ここのキッチン、見た目は殺風景ですが、魔力次第で自由にいろんなもの生み出せる空間になってるんです。主様の魔力量なら、食材も調理器具も思いのまま創造できますよ」


 ……なんですって。

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