【3】……足、長っが


 ――というわけで、異世界転生した。


 目が覚めたとき、私は石造りの丸い台の上に寝かされていた。

 カナディア様のお話だと、ここはとある辺境のお城らしい。神に身を捧げるため、お城の最上階の封印の間で永遠の眠りについた、とのことだ。

 その貴重なお身体を、私なんぞが使わせていただいて良いのだろうか。こんな喪女の私を。


 ゆっくりと身体を起こす。


「げ!」


 よく見れば、胸に半透明の短剣がぶっ刺さっているではないですか!

 超痛そう。いや、痛くはないんだけど……。

 おそるおそる手を伸ばす。すると、短剣はすーっと薄くなって、やがて消えてしまった。

 私はほっと息を吐く。


 おっきな鏡が目に入った。

 前に立って、また驚く。


「……足、長っが。顔、小っさ。肌、白っ! そして金髪!」


 あと瞳! 超綺麗なエメラルドグリーン!

 いろいろココロをくすぐられる。


「あ……」


 浮かれていた私は、手のひらを見てちょっと冷静になった。

 水仕事か、それとも戦いの爪痕か。

 荒れて、皮がところどころ剥けている手があった。


 痛みはない……けど、カナディア様、ご苦労なさったんだな……。

 よし。この身体、大事に使わせてもらおう。


「けど、これからどうしたらいいんだろう」


 そう思って辺りを見回す。

 ――でっかいモフが、そこにあった。


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