禁断の恋?いえ、バレなかったら問題ないです。

MiYu

第1話

ざわざわざわ・・・。

『黒崎ぃ!!』

『どうした藤川?』

『聞いて!!今日来る途中に電車の中で可愛い子が居た!!』

『いや、興味ない!!』




「ウチのクラスは騒がしいなぁ・・・」


香威真琴は一人つぶやく。

1年2組に在籍している。


「あっ。そういえば呼び出されてるんだった」


香威は、担任に呼び出されているのを思い出し、職員室へと向かう。

職員室に向かう途中の階段にて、事件が起きる。


「きゃっ!!」

「ふぇ?」


香威の先に階段を上っていた先生であろう人が足を踏み外し、そのまま落ちてきた。


「(やべっ!!このままじゃ・・・)」


香威は、なんとか手すりに摑まろうとするも、手が滑り、そのまま落下した。


『キャー!!』


ざわざわざわ・・・。


「(意識が・・・)」

『しっかりして!!ねぇ!!』


誰かが香威を呼ぶも、その声は届かず意識を失った。




「んっ・・・。ここは・・・」


香威が目を覚ますとベッドに横たわっていた。


「起きた?どこか痛むところはない?」

「えーっと。とりあえず背中が痛みますね」

「そうだよね・・・」

「まあ頭は咄嗟に守ったので、そこは大丈夫ですね。記憶もちゃんとありますよ」


香威は、冗談交じりに目の前にいる先生に言う。


「ごめんね。私が足を踏み外しちゃったせいで」

「謝らないでください。流石にあの状態じゃどうしようもないですから」

「そう言ってもらえるとありがたいけど、他には痛いところとか気になるところはない?」

「気になる事ですか・・・?あっ・・・」

「何かあるの・・・?」


先生は、不安そうに香威を見つめる。


「そうですね。先生の名前をお聞きしても良いですか?」

「あっ!そうだよね。名前言っていなかったね。私は、麦野有栖。担当教科は世界史だよ」

「麦野先生ですね。俺の名前は、香威真琴です」

「香威真琴君ね分かった」

「はい」

「「・・・」」


お互いの自己紹介を終え、沈黙が続く。


「というか俺はどのくらい意識を失ってたんですか?」

「えっ。ああそうね・・・。大体1時間くらいかな」

「そんなにですか。じゃあどうしたもんかなぁ」

「どうしたものかって?」

「いや、この状態で教室には入りずらいなって」

「ごめんなさい」

「えっ?ああ先生を責めているわけでは無いんです。単純に途中から教室に入るのは注目が集まって嫌なんですよね」

「そっか」

「このままサボるか。今は、4限か。となると授業は・・・書道か」

「香威君は、書道選択なのね」

「まあそうですね」

「字は綺麗な方なの?」

「んー。そうでもないですね」

「ふふっ。そうなの?」

「そうですよ」


それからは、お互いの事を質問し合った。


「あっごめん!!引き止めちゃったね」

「大丈夫ですよ。おかげでサボれました」

「全くそういうのは良くないんだからね。でも今回は、私に非があるから何も言えないけど・・・」

「そうですよ。それに何言われても体が痛むから休んでます」

「ずるいわね」

「もともとこういう人間なんです」

「そうなのね。恋人とかは居るの?」

「また急ですね。居ないですよ」

「そっか」

「はい」

「・・・」

「・・・」


再び沈黙が続く。


「先生は彼氏さんとか居ないんすか?」

「あら。踏み込んでくるわね。もちろん居ないよ」

「そうなんすね。意外です」

「というか生まれてこの方彼氏居たことないよ」

「それはまた意外っすね。お綺麗なのに」

「ふふっ。お世辞でもありがとう。でもねこれはかなり深刻な悩みなのよ」

「そうなんですか?」

「ええ。何せ、学生時代の友人はみんな結婚していくんだ・・・。その度にご祝儀で散財していくんだ。辛いだろ?」

「まあ確かに」

「私が結婚した時には、ぶんどってやる」

「せめてそのお金は幸せな家庭を築く為に使ってくださいよ」


香威が呆れるように麦野言う。


「というか最近のガキはなんだ?教室でもいちゃつきやがって。大半は別れるんだぞ」

「急に口悪くなりましたね」

「今日も授業で教室に行ったら膝枕してたんだぞ?ガキが粋がりやがって」

「生徒の事をガキって言わないでくださいよ。俺もそのガキに分類されるんですから」

「あっ!そうだよね。ごめん」


麦野は素直に謝罪をする。


「先生って二重人格かなんかすか・・・」

「はぁ・・・。結婚したい」

「好きな人とかタイプとかは無いんですか?」

「好きな人か・・・。居ないなぁ」

「じゃあタイプは?」

「そうだなぁ。私を愛してくれる人かな」

「なるほど」

「香威君が貰ってくれるの?」

「貰っていいなら」

「えっ!?」

「ん?(今、何かおかしい事言ったか・・・?)」

「じゃあ私と結婚を前提に付き合ってください!!」

「んんん?(俺は今、告白されているのか?)」

「年上は駄目だよね・・・」

「いや、そこは大して気にしませんけど。本気すか?」


香威は確認のため、麦野に問いただす。


「私は本気だよ。香威真琴君、私と付き合ってください」

「答えを言う前に、一つだけ聞かせてください」

「なに・・・?」

「俺のことが好きという認識で良いんですか?」

「そうだね。出会ってまだ大して時間は経ってないけど、私は香威真琴君が好きだ。怪我をさせてしまったのを関係なく、あなたの側に居させてください」

「・・・」

「どう・・・かな・・・」


麦野は、真っすぐと香威を見つめる。


「麦野有栖さん」

「はいっ!」

「俺と付き合ってください」

「って事は・・・」

「麦野有栖さんとお付き合いしたいです」

「やった!でも・・・。本当に良いの?」

「俺は構いませんよ」

「でも私、年上だよ?」

「おいくつ何ですか?」

「26」

「10歳差か。まあ良いでしょう」

「何か含みのある言い方ね」

「これは失礼いたしました」

「私は怒りました」

「えぇ・・・。まさかの破局の危機ですか」

「キスして」

「はい?」

「キスしてくれたら許す」

「ちょっとそれは恥ずかしいというか心の準備が・・・」

「んっ!」


麦野は、目を瞑る。


「うぅ・・・。分かりましたよ。やりますよ」


香威は、麦野に顔を近づける。


「じゃあ行きますよ」

「うん」


ちゅっ・・・。


こうして2人は不思議な恋人関係となった。


「ねぇ2人っきりの時は名前で呼んで欲しいな」

「有栖さん」

「呼び捨て」

「・・・有栖」

「うん!真琴!」

「・・・ちょっと照れますね」

「ふふっ。そうだね」


2人とも恋愛経験が無いため、一つ一つが照れくさいのだ。


「真琴って寮生?」

「違いますよ」

「じゃあ家から通っているんだ」

「はい。でもどうしたんですか?」

「寮生だったら、私の家に住めば良いんじゃないかなって思って」

「なるほど。でもまあ俺、一人暮らしですよ」

「そうなの?高校で?」

「はい。両親は海外で働いているので」

「そうなんだ。じゃあさ、私が真琴の家に行っていい?」

「行っていいと言いますと?」

「同棲」

「かなり積極的ですね」

「うん。引いちゃうよね」

「別に気にしませんけど。じゃあ一緒に住みますか?」

「うん!!」


こうして2人の教師と生徒の禁断の同棲生活が始まった。

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