ガチャ100連しても推しが出てくれないので会いに行きます。

Prolog

『はああああああぁあぁっ！今日も七翔がかっこいい...！！！！』

｢うるっさ。何、またいつもの音ゲー？｣

『そう！！！そろそろ七翔の限定ガチャ出るの！！しかも今回のビジュマジでいいんだよほら！！舌出すなよお前マジセンシティブ！！』

｢おま...うるさ...男子こっち見てんだよ｣

『私三次元に興味無いんで』

｢聞いてねぇよ｣

なんて馬鹿な会話を繰り広げる昼休みの教室で,私,進藤未希はスマホを横向きで持って悶えていた。

私の推し,鈴谷七翔という面倒臭がり屋の無気力系猫イケメンキャラの限定ガチャが追加されるからだ。それにしても今回のガチャは顔がいい。ビジュがいい。限定ボイスの声がいい。

＿＿＿＿当てなくては。

そう心に決めた時、昼休み終了五分前を告げるチャイムが鳴った。

“キーンコーンカーンコーン”

『やっべ食い終わってねぇ』

｢推し語ってるからでしょ。じゃ席戻るから。｣

『うす！！！』

私は文字通り爆速でパンを口に詰め込み昼食を終えた。

推しの鈴谷七翔とは、学園物音楽ゲームのキャラクターだ。そこまで人気じゃないキャラ故に、同担が少ないのはいいと思う。だが限定ガチャや限定ボイスが追加されない。滅多に。

他キャラと違い,暗い過去も何もかも明かされていないという無気力系キャラで、ビジュはいいが性格の掴めなさから推しキャラが流れていく。制服,体操服,水着,文化祭での執事...授業中の眼鏡...全てがイケメンである。はーー。とまぁ推し語りはこの辺にしよう。

そしてガチャ当日。

『大丈夫部屋の棚の祭壇七翔くんオンリーだしスマホの前で何回も土下座した,出てくれる、出てくれるよ。ダイヤこんだけ貯めたじゃん、60連分はあるよ。出てくれる。いける。』

ぶつくさとそう言うと震える指で10連のボタンを押す。

...確定演出なし。ハズレか。あ、でもくそかわりりむちゃん当たった。

二回目...いける。よし。

...またもや確定演出なし。今度は完全なるハズレだ。

三度目の正直って言うし、出るよね。

...はい確定演出なし詰んだ。え今回出る？大丈夫？？？いやあと30連ある。いける。

四度目...頼むから出てくれ、

.....意地でも出ない気か七翔。...大丈夫か？

五度目...や、この辺で出てくれるはず、

...出ないと。おう。出ないのか。...よーし。

六度目...これで60連な...最後だぞ...これ出ないと課金になるぞ...？

出ないか！！！！！おっし！！！チュンカ買ってこよ！！！！！！

そして70連目...。

うん。君じゃないんだよ。可愛いけどさ。

80連目...やめて...もうでてくれ金が...。

はーーーーーー。えねぇ出る気ある？もっとやる気出して？ねぇ七翔？？？

金的にもあと20連が限界か...

90連目...ッ！

すーッ。出ないか。うん。甘くないよねそんなね。次最後だわ。うわ。高校生の金じゃ限界がある。きっつ。出てくれよ。

100連目...！！

出た...出た...ッ,七翔...........の妹。違う。君じゃないのよ。え。これって...。100連爆死...？

ぴこん。

進藤未希様宛 ＿ ．

鈴谷七翔限定ガチャ

100連爆死おめでとうございます！

爆死のお祝いに運営からのサービスにて,このメールが届いた方にのみ,本アプリ"リズムタッチオペレーション"の世界に御招待します！

下の招待リンクからお越し下さい。

rhythmtouchoperation:link

リズムタッチオペレーション 運営担当 佐藤

『なにこれ...？』