おはなしのウラガワ
あまガエル
蛭ヶ崎
今顧みればこの二年間はとても奇譚的なものになっていただろう。
何故なら、僕はある一人の男「
彼との出会いは高校一年、桜の花びらが散り始め葉を出した少し気味の悪い姿になった頃である。僕はクラスの自席で一人で本を読んでいたときだった。人の気配を感じて本に枝折を挟み顔を上げたその目と鼻の先に蛭ヶ崎がいた。その顔は不機嫌ともご機嫌とも言い難い奇妙な顔をしていた。
あ、これはまずい。と、直感的に思ったのはよく覚えている。今ではその直感を褒めるのと同時にあの時しっかり逃げればよかったと酷く後悔している。
そんな初対面で「やばい奴」と思わせる程の雰囲気を漂わせた蛭ヶ崎は僕に向かって「一緒に新聞を書かないかい?」と言ってきた。
やっぱり、やばい奴だ。と、僕の体が信号を出した。それは「警戒しろ!」と言うような命令にも近かったが、僕は「分かった。」と応えてしまった。何故そのような応答をしてしまったのか。それは「彼の話に乗れば、そこそこ楽しい高校生活を送れるのではないか」と僕の脳が考えてしまったからだ。
これが切っ掛けになり、僕の奇譚的な2年間の高校生活が過ぎていった。
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