どうやら、彼女は僕の恋人という設定らしい

プロローグ

 ずっと、気になっている子がいたんだ。


 同じクラスのあの子。不思議な子だった。

 見た目は違ったし、雰囲気も違った。周囲になじまない子だったんだ。

 いつも一人で過ごしているのを、目の端で見ていた。些細なことで一緒になるのが嬉しくて、あの日もそうだった。


 久しくしていなかった遠出をしたあの日。


 あの日、僕の中ですべてが変わった。


 周囲を覆いつくす夜闇、鳴り響く轟音——そして紅く染まった彼女の瞳。


 何もわからなかったけれど、わからないまま終わったら後悔するってことだけは分かったから。


 だから、厄日と嘆いたあの日、僕は決断したんだ。


 彼女に、グリムに、踏み込むことを。

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