第1話

―――極寒の大地、シンリィヌ国

ここは広々とした大地でありリュウキュウと同じように独立した国である

冬は極寒の寒さで雪がほぼ毎日降るが、夏はからっとした天気で少し暑い程度の国である

自然が多い国であり人が住んでる場所は広さから比べてもちょっとだけである

新鮮な野菜が採れて魚も多く、牧畜もあり食べ物に関してはそう困らないほど種類が豊富だ

そんなシンリィヌはユキノウエとアメジアと提携を結んでいる。寒い国と涼しい国との提携だ

もちろん様々な種族が暮らしておりここでしかいない。という種族はないし移民もあまりない

その国独自に育った種族が多くこの国でずっと暮らすという種族もいたりする

ジパングの首都のほうが人口密度があるがこの国の首都もかなり人口密度が高い。そんな国だ

天使協会、悪魔協会、両方ともありどちらかと言うと天使協会のほうが多い

だが、悪魔協会も決して少ないという意味でもなくそれなりにあるほどだ

首都、リニヌ。その中の悪魔協会がある。ここではもちろん悪魔と不死と亡霊がいる。その中にこの話の主人公がいた

シンリィヌ悪魔協会代表室。代表が仕事をして、その中にいる秘書がサポートをする

いわゆる副代表だがこの国では副代表はおらず代表のみが偉い役割を果たしている

秘書が書類を完了させて代表に持っていく。その代表はその書類を見て満足する

その秘書の名前はアリア・ガラスメイト。主人公であり高位悪魔だ。長年秘書をしている

ヘルマスターという悪魔の種類の一種だが高位悪魔ながらきちんと名前がある、そんな悪魔だ

アリア「代表様。お持ちしました」

「お、早いな。ご苦労だった」

その代表の名前はヒムズ。アークデーモンと同じぐらいの力を持つ、男性代表だ

アークデーモンやジャバウォックと言った女性代表もいるが、この国では男性が代表である

もう歳も結構いっておりまだまだ現役だが跡継ぎがほしい気持ちにはなってる、若くない年老いた高位悪魔である

ヒムズ「お前がいると私の仕事が軽減されるから安心できるな」

アリア「いえいえ。ヒムズ様だからこそですよ」

そう言うとヒムズは笑顔になる。老齢とは言えどまだまだ感情表現は豊かであり、嬉しいときは嬉しがる

ヒムズ「そう言えば私はジパングの協会の代表になってくれという話があったんだが…結局無かったことになったな」

アリア「ジパング…あそこは天使と悪魔が全くいないという国ですよね?」

ヒムズ「そうだ。だが私のような爺がもしなったとは言えどそう長くはないかもな…」

彼が言うとその部屋で遠くを見つめるかのように視線をあわせた

アリア「代表。まだまだ大丈夫ですよ。ボケたりせずきちんと部下に指示できる時点で現役ですよ」

アリアがそう言うとヒムズは再び目線をアリアの戻して少し笑う

ヒムズ「ふふ、そうだったな。限界を迎えるまで、私はこの仕事をやり続けるよ」

アリア「その意気込みですよヒムズ様」

そう言うとヒムズは時間を見る

ヒムズ「そろそろ終わりだな。アリア、お前は帰っていいぞ」

アリア「今日もお疲れ様でした。支度をして帰ります」

彼女が言うと帰る準備をする。その帰る準備も手早くする。さっと準備したらドアの前まで行く

アリア「また明日、よろしくおねがいします」

ヒムズ「ああ。じゃあな」

アリアはドアを開け、そして閉める。ヒムズ一人になった部屋でふと思う

ヒムズ「そう言えばアリア…たくさんの女性をパートナーにしてるという話があったな」

ヒムズがぼやくように言った


アリアは悪魔協会内を歩く。副代表、ではなく秘書だがそれでもこの悪魔協会内では位は高い

歩き他の部下に会うだけでお辞儀される。そんな上の立場にある秘書だからだ

不死、亡霊、悪魔…部下である人物はすべて部下だ。そんな彼女だが帰ろうとすると呼び止められる

部下「アリア様」

言われるとアリアは部下の顔を見る

アリア「ん?何かしら?」

部下は不死だった。何気なくアリアは歩みを止めて部下の話を聞こうとした

不死「ヒムズ代表はどうですか?」

アリア「どうですかって?」

質問を質問で投げ返した。部下は言う

不死「ヒムズ代表…老齢なので私達部下は心配してるのですよ。少し、今の環境に追いついてないかな。と」

老齢…確かに老齢の代表である。アマリリスのアークデーモンやアメジアのジャバウォックとは違う年齢である

しかし、アリアは答える

アリア「大丈夫よ。いつも代表見てるけど決して悪い部分は見つかってないんだから。心配しなくていいわ」

そう言うと部下は明るい表情を見せる

不死「そうですよね。アリア様がいつも見て大丈夫そうなら安心します」

アリア「安心しなさい。代表はまだまだ現役よ」

不死「ははっ。わかりました」

アリア「それだけ?」

不死「はい。それだけです。アリア様、今日はご苦労様です」

そう言うとアリアは軽くお辞儀をして静かにその場を後にする


アリアは悪魔協会内の駐車場に行く。アリアはいつも車での通勤だ。駐車場に着くと車のドアを開けてエンジンをかける

この車はハイブリッド車。なんだかんだ最新型である。悪魔協会から出発して家に戻ろうとしていた

夕方。今日はまあまあな車がいた。もちろん安全運転で行く。免許をとってもう何年だろうか?

街を通り、自分の家に向かう

…おっと、今日の晩酌を買わないと。途中コンビニに寄った。店内に入ると自分のお酒を買うことにした

えーと今日の気分は…酒?だろうか。あまりストレスは無いが飲みたいときは飲みたい。そう思い買った

瓶の酒を買う。さ、早く帰ろう。酒を買ったレジ袋は助手席に乗せてまた車を発進させた

そう言えばレジ袋がいつの間にか有料になってた。お金があるアリアだがいちいち小銭を用意しないといけないのはまずい

エコバッグでも用意しないとだめだろうね。そう思った

車を運転して思ったが私、名前を持ってもう何年かしら。高位悪魔は基本的にはその悪魔の種類で言われるが、

名前を持とうと思えば持てる。これはどんな悪魔でもできる話である。もちろん不死や亡霊だってそうだ

一応アリアという名前を付けさせてもらった。現段階ではかなり気に入ってる名前だ

そんなこと考えてたら家、というか屋敷に到着する。自分の家だ。駐車をして車から出てロックをする

屋敷の玄関まで向かい、ドアを開ける

エントランスはキレイな場所だ。決して汚くない、見る人をほっとするような場所であった

とりあえず土足ではいけないのでアリアは靴を脱ぐ。するとこの屋敷の住民が側に寄ってきた

「あー!アリアおかえりー!」

「おかえりアリア。私の愛しい人」

2人がかけよってきた。一人は人間、一人は天使である。綾とマミヤと言う

綾である人間は小さく、まだ未成年に近い年齢だ。黒髪ロング茶目でサラサラとした髪だ

一方天使のマミヤは天使ではお決まりなのか水色髪ロングで水色目。こちらは大人になっている

アリア「ただいま。マミヤ、綾。今日も可愛いわね」

そう言うと2人は笑顔で抱きつこうとしていた

マミヤ「貴女がいてくれるから私達も笑顔でいられるのよ」

綾「嬉しいな!」

アリアは2人に抱きつかれる。彼女はふと、後の人を気にしていた

アリア「ねえ、後の2人は?」

マミヤ「リビングにいるわ。全く、主が帰ってきたのに出迎えないなんて…」

言われるとアリアは苦笑いした。マイペースな2人だからこういう出迎えはしないのだろう

早速リビングへと向かうアリア。アリアの右腕に綾、左腕にマミヤが側にいた

リビングではテレビが付けておりその前に2人のアリアの人がいた

アリア「ウナ、えいり、帰ったわよ」

そう言うと2人はゲームをしてたのかその手を一旦止めてアリアのほうへ顔を向ける

「あ!アリアちゃんおかえり!」

「あらあら。私の奥さんが帰ってたのですね?」

ウナは妖魔、えいりは不死である

妖魔であるウナは妖魔としては定番なのか褐色であり緑髪をした人物。黄色い瞳を持つ

不死のえいりは肌がやや白く、金髪ロング。不死の特徴でもある赤い瞳の元気な不死であった

そんな2人を見てマミヤは言った

マミヤ「せっかく愛しい人が帰ってきたんだからお迎えしないとだめよ2人!」

軽い説教である。だがアリアは顔を変えずに言う

アリア「いいのよ。楽しいことしてるならそうで構わないわ」

マミヤ「でも…」

アリア「大丈夫。ところで夕飯はまだよね?」

マミヤ「作ってるわ。まだだから部屋に戻っていいわよ?」

ウナ「ねえねえアリアちゃん!一緒にゲームしよ!」

そう言うとウナはアリアの袖を引っ張る

アリア「あらあら。ちょっと部屋で着替えたらそっちに向かうから後でね」


綾、マミヤ、ウナ、えいり…

この4人、すべてアリアの愛人である。というかすでに結婚しておりこの国独自の法律、一夫多妻制を適用した一家である

アリアが夫というか妻であり後の4人はすべて嫁だ。女性パートナーの人々と言っていい

元々アリアは親が資産家であり親がいなくなった後の遺産が全てアリアへと転がり込んだ

そして一夫多妻制という存在に気づいたアリアは好きな人を全員嫁としてもらうことができた

この事を知ってる悪魔協会関連の人々はあまり知られてない。代表のヒムズはこの事は知っているだけだ

それゆえ、4人の妻を持てるほどの資産があり家を大きくして現在は秘書として仕事をしている。それだけである

給料もまあまあ手に入るのでお金に困ったことはない。平等に愛を注ぐことだけを注意しておけばいい

アリアは自室に行き普段着へ着替える。この国の今の気候は夏。ちょっと薄い普段着に着替えた

さっき一緒に遊ぼうと言われたので自室に出てリビングへと戻っていった

リビングへ行くと早速ウナとえいりと一緒にゲームをした。どうもレーシングゲームみたいだ

アリアはこういうゲームは初めてではないがほとんどできるほどだ。ウナとえいりは一生懸命プレイする

しばらくするとようやく終わりなのかウナとえいりは止めた

ウナ「ふー!アリアちゃんとっても上手いよ!」

アリア「そうかしら?ウナもえいりもなかなか上手かったよ?」

えいり「いえいえ。でも貴女が一番上手いと思いますわ」

マミヤ「おーいちょうど良かった。ごはんできたわよ」

3人はテーブルに座り残りのマミヤと綾も座る

アリア「…こほん。今日も一日お疲れ様でした。いただきます」

4人「いただきます!」

アリアの一言でごはんを食べる。アリア除く4人は結構な食べっぷりだ

そんな4人を見てやっぱり元気がいちばんよね。と思いアリアも食べていた

食べている時にマミヤはアリアに話しかける

マミヤ「ねえ、アリア」

アリア「ん?どうしたの?」

マミヤ「実はさ私、ちょっと働こうと思ってね。短時間だけどバイトしようかと思ってるのよ」

アリア「あら。そんなことしなくてもいいほどお金は余裕よ?」

何度も言うが4人を養えるほどの資産をアリアは持っている

マミヤ「んー。でもちょっとだけでもやりたいのよ」

アリア「そう。わかったわ。貴女がやりたいなら私は止めないわよ」

マミヤ「ありがとう愛しい人。私、頑張ってみるわ」

そう言うと再び食事をする


食事を終えて後片付けをする

そして、リビングのソファーに座る。真ん中にアリアがいて右側に綾、マミヤ。左側にウナ、えいりが座る

一夫多妻制だからこそできる両手に花。いや、両手に花達だ。この光景がアリアは一番好きである

すぐ側にいる綾はアリアに寄り添っている。またすぐ側のウナもアリアの左腕をさわさわしている

アリアはそんな光景を見つつ、晩酌である酒を飲んでいた。全てアリアの趣味で統一された風景であった

綾「アリアちゃんの側が好きー」

アリア「ふふふ。もっとひっついていいのよ?」

綾「うんー」

ウナ「私だって負けないよ。んちゅ…」

ウナはいつの間にかアリアの腕にキスをした

アリア「あらあら。そんなことしなくてもウナのこと好きよ?」

えいり「あー。そんなことしてずるいですー。私にもくださいー」

アリア「わかったわ。おいでえいり」

えいりはアリアの前まで行き、顔を近づけた。見つめて、そして唇にキスを軽くする

アリア「貴女の唇、柔らかいわね」

えいり「大好きアリアさん…」

アリア「私も好きよ」

そう言うと綾もすっとアリアの頬にキスをした

アリア「あら?綾?」

綾「私だっておんなじ気持ちだよ!」

もうなんだか色々だ。これが一夫多妻制だ。愛は平等である

そんな中、静かにその状況を見ていた人物がいた。マミヤだ。じっと見て無言であった

マミヤ「…」

アリア(今日はマミヤあまり積極的じゃないわね)

不思議には思ったのでマミヤにも声をかける

アリア「ねえマミヤ、貴女ももっと近寄っていいのよ?」

マミヤ「え!?うん…いや、大丈夫よ」

相手は天使。ヤキモチを焼いているのだろうか?

そんなイチャイチャが夜遅くまで続いた


就寝時間。4人はそれぞれの部屋で寝ることになる。さすがに一緒ではない

アリアは自室で布団で横になる。明日もあるからさっさと寝よう。布団で横になっていたらドアのノックオンが鳴る

うん?もう寝ようとしていたのに誰だろうか?扉が開く。そこにはさっきまでだんまりしてたマミヤだった

アリア「マミヤ?」

マミヤ「愛しい人…一緒に寝ていい?」

一緒に寝るのは他の人もするのだが、今日は誰もいない。アリアは嬉しそうにマミヤを誘う

アリア「いいわよ。おいでマミヤ」

そう言うとマミヤはアリアのベッドに行きゆっくりと横になりアリアを見つめた

アリア「マミヤ…今日は積極的じゃなかったわね?」

マミヤ「だって。4人が意外と積極的だったから…難しいもの」

アリア「貴女は天使ね。譲ったのかしら?」

マミヤ「ち、違うわよ…」

そう言うとアリアはすっとマミヤにキスをした。突然のことだったのでマミヤは驚き悶える

マミヤ「っ!?~~~~!!」

アリア「私からしないとだめかしら?イチャイチャしたいときは天使だからと言って遠慮しないでいいわ」

一瞬悶えてすぐに治るマミヤ。アリアの表情からはまるで天使のような悪魔の微笑みがあった

マミヤ「愛してるアリア…」

アリア「私もよ。後、他の3人にも仲良くしてね?」

そう。他の人でも仲良く。それがこの家の一番の教訓である。些細な喧嘩は絶対にだめ…それは言われ続けている

マミヤ「当然よ。綾、ウナ、えいりとは喧嘩したくないわ」

アリア「それで良し。よ」

アリアはマミヤの頭をなでなでした。マミヤはとても嬉しそうだった

マミヤ「貴女に付いてきてとても良かったわ…」

アリア「私も貴女を嫁にしてよかったわ。おやすみ」

マミヤ「ええ。おやすみ」

2人は仲良く就寝した


シンリィヌ国

これから5人の一夫多妻の一家の物語が始まろうとしていた



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