第6話 突然訪れた絶望
私は仕事がある日は決まってカレーを作る。体をたくさん動かした日にはがっつりと食べたい。おまけに私の息子はカレーが大好物である。個人的には辛口派なんだが、何しろ息子と同じものを食べるため、甘口のカレーで我慢している。
そして、買い物を済ませた私は自宅に到着した。いつものように息子が迎えてくれることを期待しながら、自宅の鍵を開ける。「ガチャリ」と音がした後、ドアノブを回し、玄関に入った。その時、いつもは感じないしんとした冷たい空気を感じた。そう、いるはずの子どもがいないのだ。これは毎度お馴染みの「かくれんぼ」かな?と思ったが、ベッドにもいない、トイレ、風呂場にもいない。そして、ベランダも見たが、いない。そして、部屋を見渡し、一枚の手紙を発見した。
「お前の息子を預かった。探してみろ。」
愕然とした私は後悔と怒りの感情が同時に込み上げてきた。やっとの思いで、何とか息子との生活を守ってきたのだ。決して、贅沢ができるほどの余裕はない。そのため、息子にスマホは持たせてないし、ゲームも中古のものしか買ってあげられなかった。それでも男2人の生活は案外楽しかった。そんな幸せな日が終わりを迎えようとした。しかし、そんなことは言っていられない。私の自宅に唯一犯人の手がかりとしてあるものは一枚の手紙だけだ。その手紙を読んだ私はすぐ犯人を思いついた。それは私の前妻にあたる一人の女性を。
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