【 灰色 】

 4年前、18歳の頃。

 私と彼は、このポルトガルのポルトへ一緒に留学に来た。

 その時、初めて彼に会ったのだけれど、同じ日本人ということで、すっかり意気投合して、私たちふたりがカップルになるのに、時間もそれほどかからなかったように思う。


 とても楽しかった。

 そして、とても幸せだった。


 でも、あの出来事が、ふたりを遠ざけてしまったんだ。


 そう、先ほどルイザが言っていた、彼の生まれ故郷の福島でのあの地震。

 彼が福島へ戻った時に、運悪く、また大規模な地震が起きてしまった。


 ネットニュースで、彼が行方不明者リストにっていることを知った。

 そのことは、親友のルイザにも言えてない。


 誰かに、「もう彼は、この世には……」と言って欲しくないから。それを認めたくないから。

 だから、誰にも言えない。


 ――あの震災からもう3年も経つ。


 彼が日本へ旅立つ時、私に言った言葉。


「日本から帰って来たら、また、このカフェで、フランセジーニャを一緒に食べよう……」


 そう彼は、私に約束してくれた……。



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