重要なお知らせを確認するまでの長すぎる24時間

木沢 真流

始まりは一つの違和感だった

 あなたがこのエッセイを7月に読んでいるということは、なんらかの理由で私はあなたの前にはいないのでしょう。私は予約投稿という形でこのエッセイを残すことにしました。本当なら今すぐ伝えたい——でもそれは叶わぬ夢。であれば予約という形でこの世に残しておきたいのです、この私の思いを。どうか届きますように——。


※幸い予約投稿する必要がなくなったので、上の文章は無視してください。ちょっと書いてみたかっただけです笑。詳細は後ほど述べます。




 5月某日。

 私はその日もカクヨムの通知を確認していた。フォローしている方の近況ノート、新作、その他通知を見終わってタブを閉じようとしたとき、とある見慣れない通知が目に飛び込んできた。一瞬リワードと見間違えそうになるその通知はこのように書いてあった。


「大事なご連絡をいたしました。メールをご確認ください」


 背筋が凍る思いがした。

 かの有名な作曲家、ベートーヴェンは運命という曲の始まりで、あの「ジャジャジャジャーン」という音を運命になぞらえた。

 つまりあの始まりの音は扉を叩く音であって、「運命とは扉を叩くものである」と。

 その音はいつだって、それが良い知らせなのか、悪い知らせなのか教えてくれない。無機質な、心を持たない通知は常に無情だ。私は心拍数を上げながらメールを確認することにした。

 そもそもなぜ私が「良い知らせ、悪い知らせ」両方ありうるのに、悪い方に考えているのか、それは以前私は運営様から厳しい指摘を受けたことがあるからだ。


 忘れもしない、かの有名なプリ○ュアのストーリーをもし私が書いたらこう書く、というテーマで作品を書いたことがある。個人的には思いいれがあって、面白い作品が出来上がった。数名だが嬉しいコメントもいただいた。


(お忙しい方は*までスキップしてください。)

 内容はこうである。赤、黄、ピンク、紫、グリーンの色を持つ5人の女戦士が伝説の通りに世の中にあると言われる5つの源(げん)を集め、ダークフォールと呼ばれる諸悪の根源であるボスを倒すというものである。

 勘のいい人ならお気づきかもしれないが、この色には実はブルーもあって、ブルーは旅の途中で、命を落としている。この後黄泉の世界でブルーと5人は再会を果たし、後一歩で現世に戻れそうになるのだが、残念なことにそのチャンスと引き換えにやはりブルーだけもとの世界には戻れなかった。

 最後のシーン、ラスボスと対峙した5人にラスボスは正体を表した。それは眩いほどの光を放つ、美しい女神だった。


「私は諸悪の根源ではない、ただ持つものの思いをかなえるだけだ。そなたたちの前に来たものが望んだ世界を与えたのみ。そなたたちが平和を望めばそれを与えよう」


 少女たちの戦いはなんだったのか、こやつを倒すために命をかけてきたのだ、その最後の相手が実は女神だった? 少女たちに最後の試練が訪れる。そして彼女らの出した答えは?

(ちなみにモデルとなったあの娘たちは、この時は5人でしたが、今はグリーンが脱退して4人になっちゃいましたね……)



 しかしこの作品に突然、運営様から連絡が来た。はっきりとした内容は忘れたが、「規約に違反している作品を公開停止にしました」と。即座にその作品は世間からは見られなくなり、インターネットの海から消滅した。


 そう、プリ○ュアという名前をタイトルに入れてしまったのがいけなかったのだ。

 私は急いでタイトルを変え、運営様に連絡した。せっかくコメントもいただいている、それが見られなくなるのはいかがなものか、と急いで送った。しかし、返事は残酷だった。


「公開停止は解除できません」


 公開停止、というものは「一時停止でその問題点が解除されたら再開します」という措置ではなく、いかなる理由であれ、二度と再公開できない、という措置なのだ(今はわかりません、ご存知の方いらっしゃったら教えてください)。幸い下書きが残っているので、こうやって思い出して貼り付けることはできるし、もし気が向いた時にまた新たな作品として公開することもできる。

 残念なことがあるとすれば、コメントをいただいた人の内容がもう私しか見られなくなってしまったことである。


 そんな経験があった私は一体今度は何をしてしまったのか、先輩に怒られ、呼び出された場所に向かうような怯えた思いでメールを開いた。

 その内容はこうだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る