しったかぶり、昂ぶり、ふれたようにふる

「口さきだけのキスのなかにもね? 愛情をぎとれるって昨夜さくや知ったのわたし


  「もしイヤじゃないなら、わたしの声を指でなぞってみてほしい

 「そんなにイタズラしちゃうの?心のふちにまで?そんなにむさぼるもの?

肋骨ろっこつのぴくぴくに甘噛あまがみはイヤなの

 〝ヤ〟なフェイントはこれからもイヤなんだよ


 「熱帯夜ねったいやはみんなでひとつになれるからうれしいって言ったのは去年のわたし

「今夜でおしまいでいいって口走ったクチビルは、もう〝これ〟じゃないんだよ?


   「それはわたしの脚……個性がなくて恥ずかしいよ?

     でも、刺青いれずみ趣旨しゅしにあわないんだもん

  「だからわたしは等身大とうしんだいえてあたらしい光をさがしにくの

 「古着ふるぎは終わったこととして片づけておくから、ここに居てほしい

「夢のなかには、奥歯おくばめるためだけのビビットがあるね


 「引っ切りなしに〝ねとねと〟していたら、もうそれで、

   きたない植物で決まりなのかな?

「ダメだよ、お酒やハーブにつけたって、わたしのニオイは消えたりしない


真似まねの首絞めの真似っ子の首絞めの首、首、首――

  急いでも何も変わらないんだよ


 「えだわかれに沿うようにでてあげるね ……痛くない? なら……これは?

けんのうごきに血管けっかんがつられてかわいいかわいい噛みきってやりたい


 「ねぇ教えてよ いますぐなんでも好きにしていいから

   だから教えて

    ずっと教えていて

「 くさりかけた文字列だったら こわれたわたしにも

   読みあげる資格しかくがあるのかなっ??

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