ねいりばな

不眠の夜

唯一帰依きえされる

愛と死の物語


ぞくすることに疲弊ひへいして

おぼえた「象徴しょうちょう」がうずきだす

覚醒かくせいといえない

痛みともいえないもの


双頭そうとうのくちづけに

意味をあずけて

皮下ひかに逃げ去るように

ドアノブから手をはなす


来世らいせでは、明晰夢めいせきむに生きていたい

妄想もうそうを妄想と知覚ちかくして

だれに急かされることもなく

ただ、あるがまま

 対象たいしょうを対象として

 浅瀬あさせを浅瀬として

 歩幅ほはばを歩幅として

自己じこを感覚にかしながら


〝もう、だれにもうばわせまい〟

こんな思いにいたみをおぼえる

この体を、いますぐ殺してほしい

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