第五話 武器購入

武器屋に向かう為ギルドに一旦立ち寄ろうとしている途中で果物屋に声を掛けられる。


「そこのお兄ちゃん! 良かったらリンゴ買っていかないかい? 採れたてだよ!」


「んー、じゃあ一個だけ貰うよ! いくらだい?」


「銅貨一枚だよ。 このミカンもオマケで付けておくね」


「ありがとう! 武器屋さんの場所知ってるかな?」


リンゴ一個で銅貨一枚ならまぁまぁ安いな。


ギルドで道を尋ねようと思っていたので丁度いいから武器屋への道を尋ねる。


「ゴードンの武器屋ならここをまっすぐ行ったらちょっと古い看板を出した目新しい建物だよ。 なんでも、最近建て直したらしい」


「そうなんですね。 ありがとうございます。 はい、これ銅貨一枚。」


「毎度! また来てね!」


比較的大振りなリンゴをかじりながら武器屋へと向かう。

武器屋は見た目が特徴的らしいのでゆっくりと歩きながら探す。

宿から一本道なので非常に分かりやすい。


あった。 確かにめっちゃ古い看板が出ていて、見た目が新しい建物だ。

早速中に入る。


「いらっしゃい。 見かけない顔だが新人冒険者か?」


一応色んな地域で颯爽とお助け冒険者してましたが駆け出しのSランク冒険者です。


「そんなようなもんだよ。 武器にヒビが入ったので新しい物を買いに来たんだ」


「そうか、ならちょっとばかし値が張るがこれなんかD級でも使えるシロモノだ」


俺はもう少し良いものを買おうかと少し悩む。

武器はどのようなものであれ冒険者の必需品なので手元に無いと戦闘で困ってしまうのだ。


「もうすこし良いヤツあるかな?」


「あ~、長く使いたいのか。 じゃあ待ってろ。 倉庫から取ってくる。 長剣でいいんだよな?」


「はい、長剣が良いね、使い慣れてるし!」


分かった と言って店の奥へと引っ込んでいくオジサンドワーフ。

なかなか気前の良さそうな性格でとっつきやすいのでありがたい。

今後もこのお店に来ようかな…。 なんて思っていると店主が戻ってくる。


「待たせたな。 長剣でAランクくらいまで使えるのはこのくらいだ。 うちで扱ってる一番上のクラスだぜ」


「この剣の違いはなんですか?」


「よく聞いてくれたな! こっちが魔剣になっていてな、魔力を通すと刀身に炎を宿すんだ。 材質はミスリルだな。 そっちは比率は少ないがアダマンタイトが含有された合金の純剣だ。 刀身から火を噴いたりすることはないな」


「ロマンとしては前者だけど、俺は堅実派なんだ、後者を貰うよ。 いくらかな?」


「ほんとは金貨二枚なんだがお前さんに託したら面白い事になりそうだから金貨一枚と銀貨二枚だ」


ありがとう! と言い金額を支払う。

すると店主は鞘まで付けてくれた。


「それはオマケだ。 お前さんに幸あらんことを」

手を組み、拝む。


「あぁ、ありがとう。 また暇な時顔を出すから武器のメンテナンスも頼んで良いかな?」


「当たり前だろう。 ここは武器屋兼鍛冶屋なんだ。 任せておけ」


剣を受け取り軽く振るってみる。


重量も軽すぎず、重すぎず、剣としてしっくりくる重さだ。

グリップ部分も特殊な加工がされているのか滑りにくい。


今夜は抱いて眠りそうなくらい心が弾んでしまった。


武器屋を後にし、帰り際果物屋に挨拶に向かう。


「おばちゃん! さっきのリンゴ美味しかったよ! 道も教えてもらったし、良い買い物が出来たからもう一回買っていくよ!」


「そうかい? アタシはお姉さんだけどね? リンゴ二つで銅貨一枚にしておくよ」


「んー、お姉さん! 俺リンゴ三つ欲しいんだよね!」


「あいよ。 三つで銅貨一枚。 絶対またおいでね。」


俺ってば商売上手か?


「はい! ありがとう。 また来るよ!」


そうしてルンルンな気分で宿に帰るのだった。

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