第9話 謝罪は出来ない。
「行ってしまったな」
「そうですわね…だけど行ってから困惑しますわね」
「あれは無いよ…」
私は…村に行って、困るリヒトの顔が目に浮かんだ。
◆◆◆
時間は少し遡る。
「勇者 リヒトが女性を犯したですと?」
「はい、教皇様…聖女クラリス様、剣聖エルザ様、賢者リタ様から連名で連絡がありました、しかも手紙ではなく緊急連絡用の通信水晶で、です」
たかが女の百や二百くれてやれば良い。
私は常にそう思っています。
勇者という者は『女神の使い』他の人間と同じにしてはいけません。
『勇者』という使命を貰った時から『戦う』それ以外の人生は無いのですから、優遇して当たり前なのです。
話を聞けば…一見クズみたいな話ですがこれは『正当な権利』です。
勇者が負ければ、世界は闇に閉ざされ、数万単位の犠牲が最低でもでます。
『戦いたくないなら戦わないで良い』
これを誰も言えない以上…戦いを押し付けているのですから『大概の事は許す必要があるのです』
たかが女の一人や二人…犯すのでなく殺してしまっても…黙っていなさい…そう思います。
何故なら勇者は何万、何億の人を救うため戦う人類の代表なのですから。
とは言え…このまま『勇者リヒト』の名前が地に落ちるのは良くありません。
直ぐに手を打つことにしました。
「10大司教と通信水晶を繋ぎなさい」
「はっ教皇様」
このロマーニが、何があっても『勇者』の名を落とさせません。
◆◆◆
直ぐに話し合いをはじめ…半日掛りで今後の対応を決めました。
1. 勇者に抱かれる事、もしくは自分の配偶者、家族を抱かせる行為は『魔王討伐に参加した物とみなす』
これは勇気ある行いである
2. 勇者は女神の使いであるから人間の範疇に無い為、抱かれることは不貞ではない
女神の使いで神に近い存在だから姦淫ではない
3. 勇者に抱かれた女性には無条件で中級信者の地位を与え金貨10枚を与える。
また勇者の子供を妊娠した者には一時金として金貨100枚(約1千万)を与える…要鑑定。
また、自分達で育てたくない場合は教会が金貨500枚で教会が貰い受ける。
4. 勇者が抱いた女性の家族には免罪符を2枚与えいかなる罪も許される様に大司教が女神宛に文をしたためる…法的には許されないが死後の世界で通用する。
※この世界で免罪符はほぼ発券されなくお金に変えられない価値があります。
「教皇様、この通達で如何でしょうか?」
「まぁ、こんなものでしょう…これなら勇者の行動を問題視しないでしょう」
「他の強盗に近い話や暴行についてはどうしますか?」
「奪ったお金の三倍を払って、討伐に必要だったと司祭から謝れせて…怪我させた者には手厚くしなさい…勇者が魔族と交戦後で気が立っていたで通すように…今後は潤沢に勇者にお金が行くようにすれば…きっと問題は起こさないでしょう」
「そうですな」
「はい…私の家は代々『勇者絶対主義』ですから」
「そうですね、勇者様は『常に正しく気高い』それで良いのですね」
「はい」
狂った信仰が全てを許し…歪める。
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