二次元っぽい現代世界から二次元っぽい異世界に落ちた結果。
現実がある意味無情なので切実に逃避したいと思っていたら、突然自室に開いた黒い穴に落ちて異世界に来てしまったようです。
何言ってんだと思われるかもしれないけど私だって何言ってんだろう私と思ってるよ!
そして都合よく予定調和のように親切な人とか最初は冷たかったけど何かの誤解が解けたら親切になる人とかに出会ったわけだけど、誰も彼も美形あるいはイケメンなわけだ。そこは引退した強面の武骨な老騎士とか、何の変哲もない平凡な村人とかでよかった。
美形もイケメンも異世界に来る前からお腹いっぱいだよ! 画面の向こうだったら大歓迎だよ新しい出会いはいつでもウェルカムだよただし
そしてさくっと終わった塩対応を除けば、突然現れた身元不明の見た目も技能も特筆するところのない凡人に対してやたら好意的なわけだよ。
なんのヌルゲー? 今時の乙女ゲーにこんな展開持ってきたら安易すぎて叩かれるって絶対。いや一周回って歓迎されるかも? どっちにしろ私はお断りなわけなんだけどね! だってこの世界二次充できないじゃん! どれだけ二次元っぽいあれこれがあっても
現実から逃避したかったのも、何かよくわからないけど二度目の人生だと思ったら二次元っぽい世界で、しかも逆ハーレム補正を得てしまったっぽくて、現実に乱立していくフラグがつらすぎたからだったのに……正確には望まないリアル逆ハーによって削られる二次充の時間にやってられっかー!ってヤケになったからだったのに……。
前世の記憶があって前世と同じ容姿(not美形)で尚且つ二次元愛のオタクで今世で望まないハーレム状態に置かれてる同士に出会うなんてミラクルが起こったおかげでちょっとは息抜きできてたけど、それでもストレス発散が追いつかないくらい二次元っぽさ(に伴う二次充タイム削減)が加速して挙句の果てにファンタジー枠がぶっこまれてきた時点で同士も瀕死だったし……。
っていうか今までのフラグ乱立時の連動具合からして、同士も似たような状況に置かれてるんじゃ……?
私は落ちものトリップっぽい感じだけど、同士は男向けの王道に王道を重ねる感じだから召喚チート&ハーレムとかそういうので。
働かせてもらってる食堂で、たまに聞こえてくる別大陸の話がそれっぽいんだよね……。大国にいる救世の勇者がどうとかっていう。最初は自分の帰還フラグかな?と思ってたんだけどなんか毛色が違う気がする。
元いた世界でやたらイベントっぽいものが連動してたことからして、同士の可能性は少なくないと思うんだ。世界観共通で別パッケージのゲームかな?って感じだったし。
何よりこういう時の嫌な予感は当たる。経験則だ。そんな判断ができる経験を積み重ねたくはなかったけど、現実って無情だよね……。
とりあえず、自分が帰る方法を探すのと並行で、同士(暫定)の情報も集めようかな。こっちはごくごく平凡で堅実な日常生活を営んでる(ただし美形乱舞)だけだから、同士(暫定)の方から見つけてもらうのは無理だろうし。できれば精神の安寧のためにも合流したいんだけど、同士(暫定)の立場的に難しいだろうなぁ。
……とか考えてたら同士(暫定)は同士(確定)になった。けどどうしようこれ。
食堂の常連さんの勘違いからの嫉妬イベント起こったんだけど何これ。
いや、そもそも私は最初から元の世界に帰りたいっていうのを前面に出してるから、恋愛フラグ立たないよねそうであってくれって願ってたんだけどこの世界も無情だった……わかってた……出会う人出会う人の顔面偏差値の高さから察してはいた……。
逆ハー補正はほんとなんでかかっちゃったの?
まあ嫉妬イベントだけならよかった(よくはないけど)んだけど、問題は派生して起こったこの世界での保護者からの外出禁止令だよ。実質軟禁だよねこれ。
ただでさえあらゆる面倒は見るから働かなくていいとかって、ニート垂涎だけどそこはかとない囲われフラグな申し出ををどうにか断ってなんとか見つけた働き口だったのに辞めさせられたし……これだから過保護な金持ちの地元の名士は!
……っていうかこれ、まさしく囲われそうになってるんじゃ?
やばいやばい、この世界、元の世界より段階すっ飛ばして話進めていく感ある。なんかトントンと生々しいゴール(人生の墓場)に持っていかれそうな感がひしひしする。ぼんやりしてたらエンディング迎えさせられてそうでこわい。恋愛→結婚の流れが倍速な世界こわい。恋愛成立してなくてもヤンデレとかあるからこわい。
どこでそんな好感度稼いだのかとんと記憶にないけど最初から好感度MAXみたいなアレだったからな! たぶんなんか過去話とか関係してくるんだろうけど私は訊かないし聞かないぞ!!
とりあえず、囲われフラグを折ってお屋敷出て? なんかこっちより数段ガチな囲われ方してそう(国単位的な意味で)な同士のとこ行って? 元の世界に一緒に戻るのが最善かな……そしてそれが一介の平民(仮)な私でも無理とは言い切れないフラグが立ってるのが逆にこわいっちゃこわいんだけど背に腹は代えられないからな……。
元の世界のお助けキャラ(としか呼べない世界観ぶっちぎり気味の謎人物)を彷彿とさせる存在な時点でアレなんだけど、帰還フラグ立てられそうなのがそこしかないから仕方ない。人生には割り切りも必要だし、何より二次充のできる世界に戻るためには手段は選んでいられないよね! あと囲い込みとか結婚とかそういう不穏なフラグから逃げ出すためには別のフラグを立てることも辞さない覚悟じゃないと無理だって私知ってる。
とりあえず元の世界に戻ればこの世界でのフラグは折れる(帰還EDってそういうものだよね!)はずだから、全力で帰還目指すぞ!
……と気合を入れて、「立場逆じゃね?」なんて言われながら限りなく監禁に近い軟禁状態だった同士を救い出し、明らかにチートなお助けキャラになんとか送還してもらって、二次元っぽさは大して変わらなくても漫画も小説もアニメもゲームもあって二次充ができるという点で大きな違いのある元の世界に戻って。
それでその異世界との縁は切れた――なんてそんなわけがなかったことを思い知ったのは、何が琴線に触れたのかチートなお助けキャラが世界を越えてちょっかいを出してきた挙句に「ついでだからサービスしておいたよ☆彡」なノリで異世界の人員を送り込んできた現実を目の当たりにした瞬間だった。
……限りなく二次元じみた
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