リアル恋愛ゲーフラグを切実に折りたい同盟結んでみました。

話は、「リアル逆ハー補正とかマジ要らないんですけど」な彼女と、「リアルハーレムフラグとか必要ないから二次充させてくれ」な彼が、行き着けのゲーム屋で運命的(笑)な出会いを果たし、互いに愚痴を言い終わったところから始まる。


+ + + + + +



「さて、ひとしきり愚痴も言い終わったところだし、ちょっと建設的な話に移行しないか」


「建設的な話って? ……あ、ちょっと待って会計終わらせてくる」


「じゃあ俺も。……なあ、それって乙女ゲーってやつだよな。面白いの?」


「面白いと思ってなきゃ買わないよ。……そのギャルゲーって和風ファンタジー?」


「まあ、そうだよな。これはあんまり前情報集めてないけど、和風ファンタジーだな。世界設定からのどんでん返しがない限り」


「ああ、実は電子世界の話でしたとかのSFが入ってくるとかね」


「そうそう。ってかさ、なんかオススメの乙女ゲーとかある?」


「え、いきなり何。やるの? 乙女ゲーだよ? そりゃ男でもやる人いるけどさ」


「いや、同士が面白いって言うならやってみようかなって。でもできれば主人公のビジュアルがかわいいのがいい。親友とかで可愛い女の子が出てくるならなおいい」


「思ったより雑食っていうか、チャレンジ精神あるね……。じゃあ今度オススメいくつか選んでくるから、君の好きな見た目の主人公の貸すよ。代わりになんか感動系のゲーム貸して。さくっと出来てシミュ要素無い泣きゲーがいいな」


「さりげに条件きついだろそれ。いいけど、いくつか候補あるぞ」


「その中で一番オススメのがあればそれで。無かったら……ファンタジーで絵柄が女子ウケしそうなので」


「地味に難しいんだが。女子ウケしそうなのってのがわかんねぇよ」


「そこはオタクの勘でどうにか」


「いやさすがに守備範囲じゃないから無理。いいよこっちも幾つか持ってく」


「二人とも、ハマったら入荷してやるから自分用買えよー」


「はいはい、売上に貢献しろってことですね。店長きちくー」


「学生の財布事情わかってて言ってるんですか店長。中古入れてよ中古」


「まー道楽でやってるからいいけど。お前らお得意様だしな」


「店長は客に対する態度がアレだよね。道楽って言ってもどうなの?」


「いーだろ別に。その恩恵受けてるんだから文句言うなよなー」


「はーいゴメンナサイてんちょー。それじゃ、次予約してるの入ったら連絡くださいね」


「オススメ入荷したときもよろしくー」


「へーへー、次のご利用お待ちしてますよ常連共」




「……で、建設的な話って?」


「あー、ほら。俺ら二人とも、リアルのフラグとかいらないから二次充させてくれよ状態なわけだろ」


「まあ、そうだね」


「だったらさ、俺らが付き合ってるふりすればフラグ根こそぎ折れるし二次元との時間も確保できるんじゃないかと思って」


「……えーとつまり、なぜか乱立するフラグ回避をしやすくするために付き合ってるふりするってこと?」


「あとデートと称して二次元と戯れる時間もとれるし」


「……。その発想はなかった」


「ちょうど店入るまでそんな感じのこと考えてたんだよなー。まああんたがそういうのダメなタイプなら別にいいけど」


「いや二度目の人生なわけだし、そのへんは割り切れるけど。っていうかリアル彼氏に夢見てないし」


「つまりオッケー?」


「いやオッケーというか、君はそれでいいの?」


「言い出したの俺だよな」


「そうだけど。でもそんなうまくいくかな。そりゃお付き合いしてる人がいるってなれば色々フラグ折り易いけど」


「まあ俺は二次嫁愛でられればそれでいいんだが。それすら脅かされてるからこその提案なわけで」


「安定の二次嫁愛だね……気持ちはわかるけど」


「だろ?」


「うーん……とりあえず様子見てみない? 聞いた限りそっちにも複数人ハーレム要員がいるみたいだし、そのうちの一人だけに打ち明けてみるとか。とりあえずヤンデレ幼馴染はやめといてね」


「フラグ折りにかかっても害のなさそうなやつからってことか。じゃあそっちはヤンデレ従兄だけはやめてくれ」


「ヤンデレフラグがたまに立つだけでまだヤンデレじゃないよ、多分……」


「言いつつ目が泳いでんぞ。そっちのフラグも折れるといいな」


「君の方もね」


「男女のヤンデレじゃやっぱ男のがヤバイだろ。現実に存在しちゃダメだろ。対象が『束縛愛好物ですリアルでもどんとこい』な場合は除く」


「いや女の子のヤンデレも相当……。凶器使ってくる率高そうだって思うのは偏見?」


「どうだろうなー。とりあえず今のところその気配はない」


「あったらそれ人生バッドエンドフラグだよね?」


「むしろゲームオーバー?」


「そんなさらっと。いくら二次元っぽいからってさすがにリセットボタンはないんだから」


「セーブもロードもできないしな。できるなら速攻フラグ折る方法模索しに行くわ俺」


「同感」


「んー、じゃあとりあえず様子見しつつ、無難な奴に『恋人できましたー』を匂わせる感じでオーケー?」


「オッケー。でもまあ予想外のことがフラグに繋がるからさ……慎重に行こうねマジで」


「それは重々承知してる、っつーか日々痛感してる。強制フラグ立ち易すぎるよなこの世界」


「言わないで、ますますフラグが立つ気がするから」


「その発言もフラグに聞こえる俺は毒されてるのか」


「それもフラグに……駄目だキリがない……」


「気持ちはわかるけど落ち込むな。その状態を打破するためにこれから協力し合うんだから」


「そうだった。よろしく同士」


「相棒でよくないか? もしくは戦友」


「ぶっちゃけ共犯が一番近いと思う」


「それは同感」



+ + + + + +



そんなこんなな経緯を経て、結局双方ともにフラグを折りきれずに、約束されしカオス修羅場のフラグを立ててしまうのは――また別の話である。


 

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