第6話 昆虫事情。

 お食事中の人、ごめんなさい(と、テーブルに食べ物を並べて夫待ちの人が言いますが)、北海道にいないものの代表と言えば……そう、「G」。ゴッキーさんです。

 虫というのは、南下するほどサイズがでかくなるそうなので、沖縄あたりのアレとはお会いしたくないものですが……。ちなみに動物は北上するほど大きくなるらしいですよ。鹿とかリスとか、熊とか、そうですね。あと、うちの猫ね。……あれは単なるデブですね。

 


 話が大きくそれました。ゴッキーさん、北海道民は本当に見たことがないらしく、うちの実家から送ってきた、荷物の隅に隠れていたのを私が見つけ、ギャーギャー言ってるところに夫が現れ、何事もないように荷物を箱からひょいひょい出したあと、箱の隅に残るゴッキーを、しげしげとながめ、

「へえ〜。これがゴキブリなんだ〜」

 と至近距離で観察しておりました。


 無理!!! その光景を見ていること自体が無理だから!! 玄関前でやれ!! ちゃんと殺してからやるように!!! と、新聞紙を硬く丸めて渡し、「殺虫剤でよくない?」とか甘いこと言ってる夫を、

「殺虫剤かけたら、かけた人めがけて飛んでくるから!! まず叩き殺す! その上で殺虫剤でとどめを刺す!!」

 と、ゴッキー退治係に任命してあげました。



 せみも大きいサイズのはいませんね。いるのかも知れませんが、私は見たことありません。

 わたくし、ゴッキーの次に嫌いなのが蝉。


 ある日、料理をしているところに、義母かあ様が見物に来ます。

「何作ってんの?」

「これはね、〇〇を使ってね、〇〇の煮付けを……」

 と話していて、

「ちょっと待って!! お母さん、胸のとこ!!」

 自分の胸をチラッと見て、

「あー、大丈夫、せみだよ?」

「いやいやいや、大丈夫じゃないんで!」

「いや、心配しなくていいって、ほら、生きてるから」

 と、素手で掴む義母様。

「ジジッ! ジジッ!」

 鳴く蝉。……卒倒しそう……。

「そのまま、持ったまま、外行って、捨ててきて。ここで逃さないで。」

「えー、蝉だよ? ほらぁ?」

 ジジッ! ジジッ! ジジッ! ジジッ……

「マジでやめて、ホントに嫌いだから、ダメだから。それやったら本気でキレるからね」

 小さいとはいえ、蝉は蝉。もー、ホントに勘弁してください。



 勘弁してください、は、うちの猫たちとて同じ。


 台所で料理していて、猫が足元で鳴くので、

「何、今忙しいから、また後にして」

 と、振り返って、

「ひぃいいいい!!」

 猫、蝉の死骸4つくらい、綺麗に並べてありました。羽むしって(泣)(泣)(泣)。

「よく獲った。偉い。でも、見せに来なくていいから(滝汗)」


 あれ、猫が御主人様(猫的には下僕としか思ってないが)に、獲物を持ってくるのは、こいつに獲物が当たってないようだ。可哀想だから獲ってきてやったぞ、ほら食え。みたいな温かいお心遣いとのことです。


 ありがとうございます。丁重にお断りいたします。もう、お気持ちだけで……。


 クワガタとかもいるけど、やっぱり小さい。小さくても虫嫌いの嫁にしてみれば、勘弁してくれと思います。



 下の娘は、

「もうね、Gいないだけで天国だわ。だって台所で躊躇なく下の扉開けられるのよ?? ありえなくない?」

 北海道万歳と申しておりました。

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