近道2(ネタバレあり)11話〜20話まとめ

登場人物紹介


主人公


 黒野くろの貴史郎きしろう…異世界に来てしまったらしい、背だけは高い三十才男性。姫、サリーの侍従として魔女の塔に住むことになる。お米が大好き。クロノ。



魔女の塔


 セーラレイン・フロストライゼル…魔女の塔の主人である白髪の姫。男性が苦手。実は美人で、笑うと可愛い。姫様、サリー。


 ヨスコッティ・フローレンス…衛兵代わりの黒髪おさげの女性剣士。クロノの剣の師匠。ヨッちゃん、ヨスコさん。


 ヴァイオレット・スプリング…姫の教育係、魔女の畑の管理人。実は塔の中では最強。ヴィオ、ヴィオさん。



他の人物


 トマ…全てに通じた宮廷魔道士。トマ師、トマ先生。


 マリベラ…元、魔女の塔の住人、一番の理解者であると姫が信じている侍女。ベラ。

 

 ゴーベイ・ノ・アリワラ…隣国の王子。王家代々の金髪碧眼が自慢。サリーの十五才年上。若作りで女癖が悪い。



あらすじ


 侍女マリベラに執着するあまりヨッちゃんとヴィオとケンカになってしまったサリーだが、クロノが手伝い何とか謝ることができた。

 嬉しかったのだろう、サリーが供をしたクロノに笑顔を見せた。今までツンケンしてばかりだったサリーの素直な明るい笑顔に、クロノは目を奪われる。


 ヴィオの勧めで剣を教え、習う羽目になったヨッちゃんとクロノ。クロノは剣を初めて見るところから、ヨッちゃんはそんなクロノの様子をよく見、我慢して教えることから、2人のそれぞれの訓練が始まった。


 塔に少しずつ馴染むクロノに、サリーも少しずつ懐いていく。


 塔の食事は城の厨房で作られ、所定の場所に置かれている。作り置かれたそれは冷めていて、おいしさも半減すると思ったクロノは、トマ師に相談した。トマ師はクロノが申し出たものを請け負い、程なくさまざまなものが用意された。

 スープを温め直すためのコンロ、お茶のためのポット、茶葉、ティーセット。他に、頼んでいなかったはずの調味料、そして粉。ひととおりのものが揃い、クロノは喜んだ。


 スープを温め直したり、クロノは自分にできることを探る。剣は思うようにできず、もがくばかりだが、周りの人達はその頑張りを見て、待ってくれる。

 もとよりそう感じてはいたが、言葉で言ってもらえたクロノは思わずヨスコッティにすがって泣いた。


 クロノの侍従としての仕事も少しずつ始まる。サリーの起床を確認したり、授業に行く供をしたり。


 サリーの授業中、時間があったクロノはヴィオに案内されてこの世界の妖精……妖術で動く精密機械……を見る。あまりの技術に我を忘れ、夢中になると周囲が見えなくなる癖を発揮してしまい、ヴィオに激しく後ずさられた。

 しかし、クロノも塔の住人、サリーのことをもっと知って、守ってもらわなければならない。ヴィオは決意し、ヴィオが管理する魔女の畑に案内した。


 高い壁に囲まれた早春の畑にはまだ目ぼしい作物はなく、しかし隅にはスミレの花が春風に揺れていた。春の花が好きだというクロノに、おそらく同じ雪国の生まれだと確信したヴィオは、塔のことを話し始める。


 この塔に突然姿を現したのはクロノが初めてではない。

 初めては、猫だった。

 今回と同様にサリーがひどく弱っていた時、サリーが急に猫を連れてきた。そのおかげでサリーは元気を取り戻した。


 サリーがそこまで衰弱していたのは婚約破棄のせいだった。侍女マリベラと離れたくなかったからだ。


 婚約者だった隣国のゴーベイ・ノ・アリワラ王子は、金髪碧眼が自慢の、サリーより十五才年上の王位継承者。順位は一桁、だがおそらくまわってこない。

 若作りで、目つきがいやらしい。

 大変な女好きで、結婚衣装の仮縫いのため訪れたサリーの寝室に忍び込み、それから逃げてサリーは怪我をした。


 なんとか回復して帰途に着くその時、侍女マリベラがサリーの前に進み出て、スカートをまくりあげる。非公式に見送りに訪れた王妃の目の前で。マリベラは昨夜王子と契り、その証拠を露わにしたのだ。

 侍女と寝た王子にその主である姫は嫁がせられず、婚約はご破算となった。


 クロノは婚約破棄の理由を聞いたことをサリーに話す。サリーはまだマリベラを悪く思えないようだ。サリーを心配しながらも、クロノは見守ることにする。


 その一方で、パンに飽きたクロノはコンロと共に差し入れてもらった粉(おそらく米粉)で簡単な団子や麺をこしらえて食べているうちに食べ過ぎてしまい、剣の稽古もままならず、夕飯も残してしまった。


 自己嫌悪の片付けの後、珍しくクロノを待っていたサリーが具合を尋ねるので、クロノは我慢できずにおやつを食べ過ぎたことを白状する。だが、サリーがそこにいたのはそのためではないようだ。クロノは思い当たり、マリベラの話の続きを聞くため部屋に招くことにした。



作者のおすすめ…12話

 付かず離れず(?)ぎくしゃくしたクロノとサリーの距離感をお楽しみいただければと思います。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る