ぼくのうた

吸血哀歌

わたし生き血を啜（すす）る吸血鬼

二千年を生きたヴァンパイア

今（こ）宵（よい）も誰（だれ）か生（いけ）贄（にえ）を求めて

しらりすらり陰を行く

ねえわたし我が儘（まま）だから

輸血パックとかじゃダメなのよ

ほらこんな風に人の首筋に

直（じか）に牙（きば）を立てて咬（か）み付いて

（またやっちゃった……）

どんなに拭（ぬぐ）っても取れないヤな後味

血を吸うのなんてもうイヤなのに

どうしても抑え切れないこの衝動

ごめんなさいねごめんなさい

偶（たま）にはわたしの事に気が付いて

優しい言葉を掛けてくれる人もいる

ずっと独りぼっちで生きているわたし

淋（さび）しくてつい縋（すが）ってしまうの

だけど人は寿命で縛られてるから

みんなわたしを置いて逝（い）ってしまう

あゝあの人がくれたマドレーヌ

最高に美味しかったのに

（味なんてわからないけど……）

置いてけぼりはもう懲（こ）り懲（ご）りなのに

ふと気が付けば探してる次の相手

ねえねえそこの道行くあなた

悲劇しか見えない恋愛はいかが？

不老不死なんていいものじゃないのよ

それがわからないお馬（ば）鹿（か）さんが

今夜も哀れに近付いてくるから

わたしそっと殺してあげるの

（どうかお幸せに……）

そしたら何（な）故（ぜ）だかみんなが怒鳴って

悪魔だ死神だって罵（ののし）るのよ

ねえわたし何か悪い事した？

ねえわたし何か悪い事した？

ねえその銀のピストルは何？

その杭（くい）は何？その十字架は何？

それでわたし殺す気なの？

ねえわたし要らない子なの？

でも残念お生（あい）憎（にく）さま

本物の不死身なのわたし

そんな物で死ねるなら

わたし涙なんて枯れなかった

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🎦 https://youtu.be/mc9DA_NiBrA