第5話 拉致られ2
中にはいると、女性の事務員さんがいました。
「どうしたの?」
「………」
「そこ、座って」
とりあえず、座ってみます。
事務員さんから、
「どうしたんですか?」
「ちょっと、行き違いのトラブルで、話しあいをしたいんじゃないかとおもいます。」
私も、よくわからず答えます。
ぞろぞろ人が増えていきます。
要約すると、今日の工事でずっと大型車で通りづらい道を使って迂回してくれていたのに、ガードマンが、今回は通れると中に呼び込んだにもかかわらず、結局待たされた上に通れなかったとのこと。
「今、代表が来るから。」
ガラステーブルをはさんで、こちらに否があるようなので、正座して待ちます。
挨拶をし、話しが始まります。
何事か、話したあと、
「これって営業妨害だよね。」
代表、返答に困るオレ。
理詰めで話すことはできますが、雰囲気的にとりあえず黙ってました。
どう答えるか。
そこに、何故か原因になったガードマンが登場します。
「テメェだよ。」運転手さんヒートアップ。
一緒に並んで正座してます。
謝るガードマン。「すいませんでした。」
この人、実は元かなりのヤクザさんで、腹の座り方がちがいます。どうどうと謝意を示します。
ひたすら同じ問答の繰り返し。
テーブルの上に、工具を並べだす運転手。
スパナ、ハンマー、ペンチ、レンチ工具がガラステーブルに並べられていきます。
「誠意はないの?」
「誠意見せてよ」
運転手さんが、
「どれでもいいよ、指潰せや」
怒鳴ってます。
はぁ〜〜、めんどくさい。
のらりくらり、かわしていると、外がうるさくなってきます。
一人、二人男が減っていきます。
そして、誰もいなくなり、しばらくガードマンと二人きりに、
「どうして、きたんですか?」
「原因私ですから…」
そんな会話をしていると、
「こっちに来て下さい。」
何故か、件の運転手が呼びにきました。
今度は、何だ???
表に出ると、警察官と、代表、従業員が揉み合ってます。昔のテレビのワンシーンの様。
「警官がなんぼのもんじゃ」
「お〜、お〜、ひっぱれや、こら」
(なに、この状況。)
よく見ると、パトカー3台、護送車も2台、警察官は10人以上はいるようです。
(なにごと?)
運転手さんに、警察の隊長さんっぽい人の所まで案内されます。
隊長さん。
「何が、あったんですか。」
「正直に話してください。」
「はい、今日あそこで道路工事してまして、PR(地域への周知のこと、工事案内のビラ配りなど)に不備がありまして、こちらの会社のかたにご迷惑お掛けしてしまい、色々話してました。」
淡々と話しました。
「ほんとのことを、言って下さい。」
同じ内容を繰り返します。
隊長さんも、顔が赤くなってきてました。
「これだけ、でばって誰も、しょっぴかないって、わけには、いかないんですよ。」
(あれ、警察にも、脅されてる、なんでや。)
淡々と同じ説明を繰り返します。
何とか開放され、自分の車にもどります。
何故か、原因の運転手が後ろから走ってきました。
(まだ、なんか続けるんかな。)
「あんたには、おれ、もう、なんにもないから。」
「何か、すいません。」
「あの、ガードマンは別だけど。」
謝罪しに来たようです。
「こちらこそ、不手際で、すいません。」
車戻り携帯を確認すると、お客様、社長、その他色々着信が……
はぁ〜、めんどくさい。
連絡とると、お客様のところに事情説明が必要とのこと。
(今日は、長いな。)
ちなみに、うちの人間は、片付けはして、とっとと現場離れてました。
残ってたのは、1人だけ。
一人いてくれただけ、まだ、ありがたかったですね。
こんな日も、あったなぁ。
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