第3話 画面を見られないために
「じゃあ、着信履歴を今から確認します、全員見せるように」
これにはクラス中がどよめいた。
名乗り出ない犯人のために、他人に自分の着信履歴なんか見せたくないだろう。
だから八田君、楠さん、根本君の3人は先生に抗議をした。
「先生!プライバシーの侵害です!」
「授業中にスマホが鳴っただけでそこまでする必要があるんですか!?」
「親に言って訴えますよ!」
その抗議に先生はこう返した。
「確かに、今から先生がみんなにやる行為はプライバシーを侵害している。
でも、ルールはルールだ。」
先生が言ったそのセリフを流石に理不尽に感じたのか、派手な格好をしている遠野さんがクラスメイト全員に対して叫ぶ
「クッソ、犯人はやく名乗り出ろよ!
こんな冤罪でスマホ履歴見られるとか最悪なんだけど!」
まぁ上品とは言い難いけど、彼女の言い分には同調する意見が多い
でもそんなガヤは先生は聞かない、このままでは強行突破されてしまう。
そこで危機感を感じた上村君が一つ先生に提案をした。
「先生、25人の履歴を見て回るのは非効率です!容疑者を半分に絞ったほうがいいと思います!」
『非効率』というその言葉に先生は引っかかったようで、「どうやって絞るんだ」と詳しい話を上村君に聞いた。
「さっきの着信音はロボッツには入ってないです、だからLphonを持ってる人だけ調べればいいと思います」
その意見は概ね支持を得て拍手を何人かからかもらっていた。
とはいえ、Lphonを持ってる人間からしたら、こんな押し付けは溜まったものじゃない
「えー、俺Lphonでも聞いたことないけど…それにロボッツでも動画流したりダウンロードしてる可能性だってあるだろ!」
「携帯没収の覚悟でこの時間にそんな着信音が鳴る動画を見んの?」
こんな感じでLphonを持つ真野君とRobotを持つ上村君が喧嘩を始めてしまう。
ただでさえ押してる授業で喧嘩されたら先生も溜まったものじゃないのだろう。
「わかった、じゃあロボッツを持ってる人はカバンにしまいなさい
Lphonの中に該当者がいなかったらロボッツの人の履歴を見る。」
上村君案が採用され、ロボッツを持っていた人は安堵して、先生に言われるがままカバンの中に仕舞った。
私もロボッツなので安心してスマホをしまうと、紗良が羨ましそうに私を見つめている。
紗良はLphonなので容疑が晴れなかったらしい。
「はぁ…私じゃないのに…このままじゃ先生に履歴見られちゃう…」
「まぁまぁ、見られてもここ数日の着信時間と相手の名前だけだって」
「それが嫌なんじゃん…」
紗良は机に突っ伏して落ち込んでしまった。
それを空気読まずに声をかけてきたのは、前の席の日菜だった。
「ねえ、犯人誰だと思う?」
「何あんた、自分が該当者から外れたからって喜んじゃって。」
「いいじゃん、せっかくだし楽しもうよ」
ロボッツで容疑が晴れた彼女は小声だけど嬉しそうに私たちにそう話す日菜。
紗良はそれにムカついているのがわかったけど、誰のスマホなのかは気になっているようで、推理ゲームを楽しみ始めた。
日菜はささっと座席表をノートに書き込んで、それを私たちに見せた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます