第2話 先生犯人探します。
前提として、うちの学校はスマホは持ち込み禁止じゃない。
でも、授業中に着信音・バイブを鳴らしてしまうのは授業妨害にあたるので、
もしスマホを鳴らしてしまったその日は下校時間までスマホが取り上げ、推薦取り消しの措置、悪質の場合は学年が終わるまで…私たち3年生は卒業まで返却しないという校内ルールがあった。
だからみんな、スマホには充分気をつけているんだけど…
ついに今日、誰かが着信音を鳴らしてしまった。
当然先生もそれに気づき授業中断、現在に至る。
「さぁ、スマホを鳴らした人は正直に名乗りでなさい。」
クラス内はシーンと静まり返った。
それは誰のスマホでもない、ということだろうか?
いや違う、着信音はクラスにいる誰もが聞いたはず。
つまりは、誰かが嘘をついている。
授業を遅らせたくないならこの場合、気のせいだったと思い込むか、諦めるかどちらかになるだろうけど、今の授業を行なっている理科の先生は担任かつ生活指導の先生。
名乗り出ない、授業が遅れるなんて理由であきらめるような人ではなかった。
「名乗りでないなら仕方ない、一人ずつスマホのチェックをする。
全員、スマホを机の上に出しなさい」
「嘘だろ!」
「授業遅れます!」
真野君、根本君は先生のその宣言に抗議をする。
けれど先生の言い分としては…
「静かに!先生だって見たくないけど、誰も名乗り出ないんだから仕方ない。
スマホ一斉チェックします。」
ということだそうです。
こうして、先生の取り締まりが始まった。
クラスメイト達は28人のうち23人は机の上にスマホを置いた。
機種はLphonとロボッツが半々くらい。
先生は机の上にスマホを置かなかった生徒の近くに行くとスマホを出すように促したけど、当然彼らは素直に机には出さず『持ってきてないです』と主張をした。
普通は流す所だけれど、先生の性格上そんな言葉だけの主張は認めない。
この瞬間だけスマホの使用を認めると、クラス委員の飯塚さんに5人に電話をかけさせた。
ちなみその役割を彼女を選んだ理由は、文化祭の準備の時に委員長という理由でクラスメイト全員と連絡先を交換していたからである。
結果5人中2人が嘘をついており、
そのうちの1人佐伯君がロボッツを、もう1人の水城さんがLphonを置いた。
それを私が見ていると、隣の席からツンツンと鉛筆で腕を突かれた。
隣の席の紗良だ。
「先生ひどくない?授業中スマホ禁止とか言っといてさ、自分お都合いい時だけは生徒に使わせるとかさ。」
「仕方ないよ、誰も名乗り出なかったんだから。」
「穂乃果は真面目だね…」
紗良は口を尖らせてブーブーと文句を言い続けた。
それは私たちだけではなく、他のみんなもそうだったようだ。
とはいえ、先生はそんな声には取り合ってくれず、
犯人探しをどんどん進めようとしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。