終章 エピローグ「風よ。2人に届いているか」

ある日の休日の昼

ハルカと巴は結婚指輪を作りに指輪店にやってきた。もちろん披露宴での指輪である

しかし巴はハルカの指は大きいので上手く指輪を選べるだろうかと少しだけ心配していた

だが、巴は言ったが大きいサイズはきっとあると思っていたためそこは大丈夫だと感じていた

指輪を取り扱う店に来た。ハルカは言う

ハルカ「巴と一緒の指輪…なんて嬉しいんだろう…」

巴「ハルカにも似合うサイズがあるから安心してね」

ハルカ「今から胸の高まりが感じるわ。行きましょう」

そう言うと2人は店に入る

そこは本当にキレイな店だった。白い壁、指輪がショーケースに入っていてどれもキレイな指輪だった

ハルカと巴はそんなキレイな指輪に目を輝かせて見ることにした。特にハルカサイズの指輪はあるだろうか?

店内をぐるりと回ってみる。2人でいるからかちょっとしたら店員が2人に話しかけてくる

店員「何かありますか?」

店員が言うと巴が言った

巴「すいません。私達結婚するので結婚指輪を欲しいのですが…隣の人は指が大きくてサイズに合った指輪はないかなと探しています」

巴がはっきり言うと店員は嬉しそうに答える

店員「まあ!結婚指輪ですか!しかし隣の人、すごい大きいですね。確かに指も大きそう…大丈夫です。サイズに合った指輪あります」

そう言うと店員が早速調べる。その手際の良さで2人は安心することになる

ちょっと経つと店員がハルカにも合いそうな指輪を持ってくる

店員「このサイズ、どうでしょうか」

店員が持ってきてくれてハルカは試しに付けてみる。なんとぴったりだった

ハルカ「すごい!もうぴったりサイズの指輪があるわ!」

ハルカが言うと店員は答える

店員「実はこれ男性用もあるのですが…ただ世の中には指の大きい女性もいるのでここではそれも用意できるのですよ」

その指輪は銀色に輝き、キレイな指輪だった。ハルカはもう満足してしまった

巴「ハルカ、まだあると思うからそれ以外の指輪も見てみよう!」

しかし、ハルカはすっかりその指輪を気に入ってしまう

ハルカ「ふふふ。この指輪サイコー!」

…もういいか。半分あきらめの態度で巴は言う

巴「わかったよ。じゃあ、これにします」

店員「ありがとうございます!」

巴「ちなみにこの指輪で似た私に合う指輪あります?」

店員「はい!用意しております!」

そう言うと店員はどこからか巴用の指輪も用意していた

巴「私のサイズにぴったりのやつかな…」

店員は巴に指輪を付けてみた。やはりぴったりサイズだった

巴「ぴったり。この指輪大きい小さいのサイズのあるやつあるんだね…」

元々ハルカのは男性用なのかわからないがまああるならいいか。そう思った巴であった

指輪を買った2人。後は何をすればいいのだろう。そう思っているとハルカは言う

ハルカ「ねえ巴。私の神社行って神主と坊主達に言わない?」

巴「そうだねえ。いつか私の会社にも言わないとだめだし…」

しかし言って大丈夫だろうか?ハルカは簡単そうだが巴の場合色々と言われそうだ

ハルカ「大丈夫よ。きっとわかってくれるわ。いざとなったら私を呼んで構わないわよ?」

巴「ハルカ、ありがとう。なんとか言ってみるよ」

そう言いながら2人は買った指輪を大切にしつつ街を歩いた


翌日の平日

ハルカはまず結婚報告するために神主その他僧侶一同を集めて報告をした

神主はそれにたいそう驚いていたが、元々冷静な神主なのかあまり驚いた様子はなかった

神主「…そうか。龍宮寺殿、いつの間にか結婚の話まで来ていたのだな」

そう言うと僧侶達がガヤガヤし始めた。そりゃそうだ。あまり恋に縁のなさそうな人がそう言うのなら…

ハルカ「我と巴はここでは挙式をあげずに別の教会であげる。それでいいか?」

そこまで言うと更に僧侶達がガヤガヤする。やはりすごいことになっているのだろう

神主「そもそも龍宮寺殿。もう我々は龍宮寺殿と巴殿が付き合ってるのは既に認知している。だがここで挙式をしないとは意外だな?」

神主は冷静さを保っている。だが、否定するつもりは無い。神主は言葉を発する

神主「…わかった。君達の結婚を祝福しよう。これ以上は言うつもりはない」

ハルカ「ありがとう神主。我と巴はもう一緒に住まないとだめなんだ」

そう言うとハルカはこの場を離れた。僧侶達は驚いた表情でいた

神主「龍宮寺殿。君は変わったな。そこは良いところだ」

つぶやくように神主は言った。その表情からはどこか微笑んだ顔だった


課長「…え?巴、結婚するんだって?」

一方こちらは巴の会社。結婚報告をしようと巴は勇気を出して課長に話そうとしていた

巴は真面目な顔をしていた。課長はきょとんとした顔で。巴は言う

巴「はい。お相手は龍人です。こっそり付き合い、そして結婚の約束をしました」

そこまで言うと課長はうーん。と言う顔をした

課長「ま、まあ…急に言われるとこっちもびっくりはするが…。だが突然だね?」

巴「前から結婚の約束をしました。だから、挙式をあげたいと思います」

巴が言うと課長はわかった顔をした

課長「わかった!じゃあ披露宴もあるだろう。その時は呼んでくれよ?」

巴「はい!ありがとうございます!」

そう言うと巴は課長のデスクから離れようとした

課長「あ!待ってくれ巴!」

課長に言われて巴は振り向く

巴「はい。なんでしょう課長」

課長「…君は、この会社を辞めるのか?」

そう言うと巴は笑顔で答える

巴「いえ?その龍人と一緒に暮らしますが、辞めませんよ?」

そう言われると課長は安心したような顔をする

課長「…わかった」

そこまで言うと巴は自分のデスクに戻った

結婚報告をしてデスクに戻るともう色々な人達に質問攻めだ。先輩などに話しかけられる

先輩「ね、ねえ巴ちゃんいつの間にか結婚するの!?私よりも先に!?」

巴「はい。そうですよ。もう決定したので」

先輩「うん。でも、そんなこともっと早く言ってくれたらいいのに…隠れて付き合ってた?」

巴「隠れてたわけじゃないですけどねー。あはは」

先輩はちょっと怒りながら巴の肩を叩く

先輩「んもー!これで披露宴をしっかりしなきゃだめだからね!」

巴「はい!わかってますよ!」

そんな巴と先輩のやりとり。しかし、その結婚報告を冷静に見ていた人物がいた。恵里菜である

彼女はタイミングを見計らって先輩が離れたときに巴のデスクに行こうとした

先輩が離れた。すぐにさっと巴の側に行く。その顔は笑顔だった

恵里菜「巴、結婚をようやくできるんだね」

そう言うと巴はまた笑顔になる

巴「うん!ハルカとの結婚式、とても楽しみだな!」

恵里菜「おめでとう。本当におめでとう。ハルカさんとは運命の人だったんだね」

巴「運命。そうかもしれないね。だからこそ、ハルカとずっと側にいたい」

恵里菜「本当におめでとう。披露宴、楽しみにしてるからね」

巴「うん!」

そう言うと恵里菜は巴の側を離れた。その顔にはどこか嬉しそうな顔をしていた


挙式当日

巴側にもハルカ側にもたくさんの人が来ていた。仕事仲間だったり龍人関係の仲間だったり…

巴もハルカもウエディングドレスを着ていた。純白ドレスはとてもキレイである

2人は誓う場所にいた。その前には牧師が居て色々と言う。その言葉に2人は黙って聞いていた

そして牧師が最後に言う

牧師「2人が、永遠の愛をここで誓いますか?」

2人の次の言葉は決まっていた

巴「はい。誓います」

ハルカ「誓います」

そう言うと笑顔になる2人

牧師「最後の永遠のキスを」

2人は横に向き合ってベールを脱いた。巴はこれから一緒になれることをとても喜んでいた

ハルカも同じくずっと一緒にいられる。それだけで胸の鼓動が高まっていた

2人は口づけをした。一瞬だったが、それでも長く感じた。そして挙式に来ていた人が外に出て、2人を見守る

巴とハルカが出た。ゆっくりと歩む。その姿がはどこか神々しい。歩むたびにライスシャワーが飛んだ

課長「おめでとう!幸せにな!」

先輩「私より先に結婚するなんてー!幸せに!」

と言った同僚達の祝福の声があった

恵里菜「巴、本当におめでとう。心から祝福するよ」

一方ハルカ側は…

ソトノ「貴女達似合ってるわよ!おめでとう!」

サチ「やっぱり君達は絶対結婚するって思ったよ!アタシは嬉しいよ!」

キリコ「ふん!末永く幸せになれ」

マドカ「貴女達幸せにね!リーダーからの祝福よ!」

カチト「おー。ハルカとー。巴ー。よく似合ってるぞー。おめでとー」

ウジ「ハルカお姉ちゃん!ぼく嬉しい!」

神主「ふふ。こういう挙式も悪くないな」

龍人達も祝福の声を発した。とても嬉しい挙式だった


挙式の後の披露宴の間。巴もハルカも関係者に囲まれていた

課長「女性2人が結婚するなんて意外だねえ?」

巴「いえいえ。好き、だからこそです」

恵里菜「課長。女性2人が結婚とは意外でもなく普通ですよ?」

先輩「…巴ちゃんの挙式見て思った。私も彼氏ともう一度仲直りしようと思った」

巴「そうですか!嬉しいですね」

先輩「次は私の番だよ!仲直りしてしっかりするよ!」

課長「ハッハッハ!あっちこっちで恋の話だねえ」

するとさっと巴に近寄った人物がいた

?「…巴!」

そう言われると巴はその声に振り向いた

巴「…広美!明子さん!」

ウナネに住む広美と明子がこの挙式に来ていた

巴「広美、明子さん…!嬉しい!」

巴と広美は小学生時代の友達。今でも通話アプリでやりとりしてるぐらいには仲良しである。また、巴は明子を知っている

広美「結婚目前だって聞いてなおかつ挙式するっていうから来たよ!」

明子「巴ちゃん。何かあったら私達から相談に乗っていいわよ?」

巴「ありがとう!広美、明子さん!」

そう言うと巴はまた会社仲間に顔を向けた。2人は龍人周りを見て、広美と明子はぼそっと言う

広美「…周り見渡したけど…やっぱりフウカさん来てないね」

明子「そうね。やっぱりこういう集まりは苦手な龍人なのかしら」

広美「いや、多分リーダーが苦手だから来ないのかもしれないわ」

明子「そういうことねえ…」

前に会ったウナネに住む龍人を思いながら2人は巴を見ていた


一方ハルカ側は龍人達に囲まれていた

ハルカ「みんな来てくれてありがとう。我はとても嬉しい気持ちだ」

サチ「いやー!絶対結婚するってカップルが結婚すると鼻が高いねえ!」

サチが大声で笑いながら言う。それを聞いたマドカは言った

マドカ「サチ。ハルカは色々ある龍人だからそう簡単には結婚できなかったんじゃないかしら」

サチ「いやいやマドカ。アタシがそう感じたから思ったんだよ!」

キリコ「お前の縁結びのおかげか。俺はそう思えるがな」

ソトノ「あれあれキリコ?サチのことベタ褒めしてるじゃない」

そう言うとキリコは焦る

キリコ「ち、違う!サチの効果はすごいってだけ言ったんだ!俺はこいつを完璧に褒めてはいない!」

キリコは相変わらずだなあ。とは数名の龍人は思っていた

ウジ「でも仲間の結婚は嬉しいね。ぼくもいつかこういうウエディングドレス着たいな」

カチト「ウジー。そなたはー。いつかー。結婚できるー」

カチトが言うとウジは驚く

ウジ「え!?カチトお姉ちゃんわかるの!?」

カチト「いやー。憶測ー」

ウジ「え!なにその憶測って!カチトお姉ちゃん適当すぎだよ!」

カチト「ごめんー。適当ー。と言うべきだったー」

ハルカ「カチト…憶測で言わないほうがいいぞ…」

マドカ「あっはっは!サチに試しに占ってみるウジ?」

そう言うとマドカはサチの顔を見てウジに言った

ウジ「マドカお姉ちゃん。別にいいよ。ぼくにはまだ早いからさ」

サチ「おやおやウジ!まだ早いって言葉が使えるなんてこりゃ将来大物になるよ!」

キリコ「お前断られてるってことを知っておけ」

あははは!笑いが絶えない。龍人達はとても仲が良い。そう思わせる会話だった


披露宴も無事に終わり。祝福の儀式が終わった後、みんなそれぞれの場所へと帰っていった





月日が流れた…


巴はハルカの暮らす場所に移り住み、ハルカとともに生活することになった

巴は神主に巫女になるか?という話があったが、巴は断り今の職場を離れないことにした

ハルカは今までどおりの生活を続けている。運の向上を司る龍人として、今日も一日お祈りの間にいる

違うのは婚約者がいること。ただそれだけのことだった。これからも巴とハルカは暮らす



―――人ってさ。なんで恋をしちゃうと、その人はとても愛しく感じるんだろ


ソトノ「ふふ~ん。今日も貴女は可愛いねえ~」

女性「んも~ソトノったら~」

ソトノ「ねえ、貴女。そろそろうちの来ない?いちいち許可出してここ来るの面倒でしょ?」

女性「え?うーん。でも大丈夫?そんなことしたら周りの龍人に何か言われない?」

ソトノ「大丈夫~!どうせ来るのは親戚とか子供達と孫達だけだからさ!私に着いてきなさい」

女性「何そのイケボ。わかったよ~。んじゃ、ちまちまと準備するわね!」

ソトノ「ちまちまじゃなくて速達便でよろしく!」

女性「速達は無理ー!」



―――ねえ、みんな。私、冬美さんとアルエルさんのようになれたかな?


―――私はここまでハルカのこと愛して、ここまで祝福されたら、何もかも嬉しくて仕方ないんだ



サチ「…ふ~!今日はおしまい!さーて早速キリコのとこ行って…」

がらっ!

サチ「誰?あっ!キリコ!?」

キリコ「…」

サチ「ど、どうしたのキリコ…そんな早く近寄って…その花束は…」

キリコ「お、俺は…お前を…そのー…」

サチ「…」

キリコ「…潤んだ瞳で…見ないでくれ…」

サチ「き、キリコ…」

キリコ「…すまん!!忘れてくれーーーーーーーー!!」

タッタッタッ…

サチ「…キリコ。ありがとう。このバラの花束。とても嬉しいよ。


好きだよ。キリコ」



―――こんなにもたくさんの愛があって、嬉しいよ


―――好きになれるとか愛してるとか、難しい言葉なのに。でもそれをできた私は、本当によくできたなって思うよ



マドカ「…まあ!絵をもう完成させたの!?カチト、やっぱり貴女は才能あるわ!」

カチト「おー。ありがとー。余はー。もっともっとー。作りたいー」

マドカ「その調子よ。貴女がもっと絵を完成できるように応援するから。何か必要?」

カチト「んー。いまのとこー。特別必要ないぞー。ただー」

マドカ「…ただ?」

カチト「マドカー。そなたとこれからもー。側にいてほしいー。お願いだー」

マドカ「ふふ。当たり前じゃない。私はずっとカチトの側にいるわ。だから気にしないでね?」

カチト「ありがとー。マドカー。ずっとー。愛してるー」

マドカ「私もよカチト。愛してる」



―――ねえハルカ。これからどういう人生歩む?


―――ハルカとなら、どこへでも行けそうだよ。この星の果てまで。行ける自信があるんだ



ウジ「さあ!今日は勉強しようっと!」

お手伝いさん「おや、ウジ様勉強なんてしてどうしたんですか?」

ウジ「ぼく、大学に行くんだ!だから勉強するんだよ!」

お手伝いさん「まあ、素敵な目標ですね!私達ではお手伝いできないのが残念ですが…」

ウジ「ううん。いいよ。これはぼくの目標だから!ぼく自身で頑張るんだ!」

お手伝いさん「応援しますよ!ウジ様!」

ウジ「ありがとう!」



―――みんな。ありがとうね。ずっとお礼を言いたい


―――ハルカ。これからもずっとよろしくね。愛してる…



夕方…

会社はそろそろ退社の時間になった。巴と恵里菜は一緒に帰った

恵里菜「じゃあね、巴。ハルカさんによろしく!」

巴「うん!ばいばい!」

そう言うと恵里菜は相変わらずバイクで突っ走っていった

巴は彼岸神社へと向かう。もう巴は神社の一員だからだ。巴が来てからはハルカと巴の部屋はすっかり変わった

色々な家電製品があったりタンスや化粧道具が置かれていたり、様々な用具が揃っていた

そんなハルカの部屋に帰ろうとした。バスもそこまでかからない。ゆっくりとした時間に帰ろうとしていた

彼岸神社へ到着した。バス停に降りて、彼岸神社へ向かう階段に登る。疲れなんてない。愛する人がいるから

階段を登りきった。すると神社の玄関のお賽銭箱の前に、巴の人がいた

巴「…ハルカ~~~!!」

その女性後ろ姿から前を向いた。ハルカだった

ハルカ「巴~~~!!」

今日の日を終わるかのように。2人は抱きつこうとしていた




東の国ジパング

2人の物語は、これにて終わることになる




                   <キャスト>

                   

                   龍宮寺ハルカ


                   東風平巴


                   草間恵里菜


                   豪龍焔ソトノ


                   緑心龍サチ


                   斬裂龍キリコ


                   女帝龍マドカ


                   王月龍カチト


                   暴雨龍ウジ




                   THE END



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