第8話 日常と不安

 テスト前だったり、実習で寝る時間が減ると心がすり減ることが多い。日々睡眠時間はなるべく取るようにしているが、どうしても取れずに疲れてしまうことがある。今やっていることへの不安、将来への不安考えても意味のないことを考えてしまうことは誰にでもあると思う。一生結婚できないのではないか、就職できないのではないか考えても仕方ないとは思いつつ考えてしまう。人のせいにするのは我ながら嫌なことだが、私の両親は離婚しており、母子家庭で育った。父の記憶は数年に一度形式的に会う程度の関係である。中学卒業の時いつでも電話しなさいと紙に書いた電話番号を教えてもらったが、いまさら父親面などされても困ると見もせずに捨てた。

 友人たちとの会話で「チチオヤ」という単語を聞くたびにびくびくしながら生きてきた。自分に「チチオヤ」の話題が振られないように自ら友人に質問したり、話題を変えたりして生きてきた。そんな経験から、結婚についてはネガティブなイメージがこびりついてしまっている。どうせ離婚してしまう。結婚しても「チチオヤ」とは何をする人なのか概念すら難しく感じてしまう。

 私も幸せになりたいわけであって、結婚もしたいと思う。しかし、結婚相手や子供に迷惑をかけてしまうことを考えると怖くて怖くて仕方ない。こんな感じで考えても仕方ないことを考えてしまう。誰かを愛すことへの恐怖は今後消えないのだろうと思う。ただ、愛すことをしない、ということはできそうにない。私は母からたくさんの愛を教えてもらった。愛すことの尊さを知っているからだ。愛すことが生きていく中で大切なことだと思う。そうして愛すこと、心から愛していくことで本物の「父親」になることができるのではないかと思うようになった。

 そうして今日もいつも通り、布団に包まれていく……水色の枕が濃い青に変わったころには眠る……。

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