第29話

 厄介すぎる……

 相性を補完するように配置されていたのは知っていたが、ウォーターゴーレムが出てくる予定はなかった。

 王立研究所跡地は敷地内、つまり塀の内側にいるプレイヤーの数を参照にして同時に出現するゴーレムの数が変わる。

 1人なら五体のはずなのだ。

 だからこそ深夜を選んでここにやってきた。

 ウォーターゴーレムが遅れてポップしたのは倒された時間によるものだろう。

 体は普通のゴーレムに比べれば柔らかいが、圧縮された水によって造られているため簡単に破壊できるわけではない。

 剣などで斬ろうとしても水圧によって途中で止まる。

 何よりも流動的で核の位置も自由自在、透明なのでどこにあるかは丸見えだが、体の中を最小限移動させるだけで核を守れる。

 壊れた体は空気中の水分を使ってすぐに修復できる。


「バイオレットサンダー」

 降り注ぐ紫電が大地を震わし轟く。

 ウォーターゴーレムの核を破壊する手っ取り早い方法は水の体を伝わせて攻撃を核まで届ければいい。

 雷属性のバイオレットサンダーはうってつけというわけだ。

 雷の熱で水が沸騰して体が一回り小さくなったもものの倒すには至っていない。

 相性が良くてもレベル差があるせいで一撃では難しい。


「ならばこその連撃、バーンフレア」

 全ての魔法がランクアップして、威力が上がったのはいいことだが、クールタイムが伸びてしまった。

 しかし、継戦力という点では前とさして変わらない。

 結局使える魔力は有限であるため軽い魔法を連射しまくるか、一発一発を一定の間隔を空けて撃つかの違いで魔力が切れる時間はほぼ変わっていなかった。

 それを考えるとやはりランクアップさせることはメリットでしかない。


 バイオレットサンダーによる紫電でダメージを負っているウォーターゴーレムに追い討ちをかける炎の魔法。

 爆炎がウォーターゴーレムを襲い虫の息というところで他のゴーレムが邪魔をしにくる。


「お前たちは後で相手してやるから、大人しくしときな!! ビーンスタークグロウ、ロックインパクト」

 巨大な蔓がゴーレムの体を締め付け、巨岩がゴーレムの体を押しつぶす。

 この瞬間にもウォーターゴーレムは自己修復を行なって失った体を取り戻そうとしていた。


 が、それが叶うことはない。

 数本の光線が核を狙って飛んでいく。

 ギリギリで核を動かして避けても、光線は反射して再び核を狙う。

 そんな攻防が数度行われて核の破壊に成功。

 ウォーターゴーレムがいなくなればタイダルウェーブでゴーレムを弱体化させて適当に魔法を撃ってるだけで終わりだ。


 ドロップアイテムは研究所跡地ということでポーション類がほとんど、運が良ければゴーレムの核が手に入る。

 俺はゴーレムの核には興味がないのでサクサクと奥へと進む。

 気になるのは先行している別プレイヤーだ。

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