第8話
「まったく、ちゃんと人の話を聞いて欲しいもんね。はいこれ、顔見知りが死ぬなんて目覚めが悪いからやめてよね」
フェアリーリングが渡され、指輪だけで全ステータスが計6%も上昇していることになる。
失敗。
失敗。
失敗。
成功。
失敗。
失敗。
成功。
失敗。
失敗……
七日目を丸一日かけて100回は余裕で死んだ。
短時間でこんなに死んだのは初めての経験で途中からはターニャも無言だったな。
全ての指にフェアリーリングが装着され、竜鱗もストレージに入る最大個数の30個手に入れた。
これでチュートリアルの塔でやるべきことは終えた。
武器を魔本に替えてステータスも魔法特化に変更。
「ターニャ、ここまで付き合ってくれてありがとな。次はゲートを目指して走るよ」
「そう、あんたは頭おかしかったけど楽しかった……」
若干の寂しさを抱えながら俺は草原を爆走する。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ」
「グオァァァァァァァ」
「世話になったなブッチャー、ひゃっほ〜」
ゲートを潜ると始まりの街の門のすぐ前に転移して、メッセージが浮かび上がる。
-チュートリアル完了-
10,000リヒトゥを獲得。
1000経験値を獲得。
フェアリーリング、救済措置の妖精の応援の効力が消えます。
ルミナスオンラインの通貨であるリヒトゥは円と同じ価値がある。
経験値に関してはレベルが1なら3まで上がる量なのだが、すでにレベルが10になっている俺にとっては微々たるものでしかない。
救済措置の妖精の応援はチュートリアルの塔専用のスキルなので塔を出ると消えてしまうことは知っていた。
「早いとこ街に行きましょうよ」
「はっ!?」
「ついてきちゃった」
そこにはなぜかターニャがいた。
救済措置の妖精がチュートリアルの塔から出るなんて聞いたことないぞ。
-インフォメーション-
妖精ターニャとの信頼が一定値を超えました。
妖精ターニャと契約が交わされました。
妖精の止まり木を獲得しました。
-妖精の止まり木-
妖精が休憩をする神聖な樹木で編まれたボール型の籠のネックレス。
契約した妖精を自由に召喚することができる。
「チュートリアルの塔から出れたのか?」
「うーん、なんか出れちゃったみたい」
「じゃあ、仕方ないなぁ」
まぁ、妖精との契約はメリットが多いし、いずれは契約を結ぼうと思っていたことを考えるとラッキーだと喜ぶべきか。
うん、ラッキーだな。
どれにせよ攻略の大幅な時間短縮になる。
「何あの妖精、かわいい〜」
「こんな序盤で契約できる場所なんてあったっけ?」
「いや、なかったはずだが、もしかしたら未開域ダンジョンが近くにあったのかも」
周りの視線は頭の上に乗ってるターニャに集中している。
ルーキーには似つかわしくない装備をしてると自然と注目を浴びるのは世の常。
こればかりは仕方ない。
「というか、あの顔ってチュートリアル塔の住人じゃないのか」
「とうとうシャバに出てきたんだな」
てかっ、注目云々なんて今更だったわ。
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